東京or大阪。ワンルームマンション投資に有利なのは?
いざ、ワンルームマンション投資を始めるとして、成否を握るのは、“エリア選び”です。いくら見た目がキレイで最新の設備を備えていても、賃貸ニーズのない場所だと本末転倒。空室リスクは抑えられません。基本的には現役世代の単身者が多い都市部で始めるのがセオリーです。
もっとも有望視されるのは、首都・東京なのは、ご存じの通り。ただし、物件価格が高いので利回りが低く、収益性の面で難点があります。そこで目を引くのが、日本第2の都市である大阪ですが、実際のところ、どうなのでしょうか。ここでは、様々な視点から、両者を比較してみます。
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Toggle東京の人口は増えているが、大阪は減少傾向
2020年1月1日における東京の人口は、1395万人。そのほとんどが区部(965万人)に集中していて、次いで市部(421万人)、郡部(5万6387人)、島部(2万4986人)と続きます。人口は1997年以降、24年連続で増えていて、昨年1年間だと、その数は約9万人。なかでも区部が顕著で、世田谷区、品川区、練馬区、中央区、杉並区は増加の傾向が目立ちます。東京といえば政治や経済、文化の中心地なので人は集まりやすく、自然増減(出生と死亡による増減)だと人は減っていますが、社会増減(転入や転出による増減)で大幅に増えているのです。
生産年齢人口(15~64歳人口)は全人口の7割弱と多く、就業者数も798万人と前年同期比で3万9000人も増加。全国的な晩婚化や生涯未婚率の高まりを受けてか、700万世帯のうち約45%が単身者(単独)世帯です。全国に住む単身者の20%近くが東京に住んでいて、これはもっとも多い水準。23区に限定すれば、4人に1人が単身者世帯となります。
一方、大阪府の人口は2020年3月1日現在で、882万人で世帯数は409万世帯。人口は東京、神奈川に次いで、第3の規模を誇ります。ところが気になるのは、その推移。1989年に戦後初めて前年の人口を下回った後は増減を繰り返し、2011年からは9年連続して減少を続けています。
ただし内訳を見ると、自然増減は減り続けていますが、社会増減は増加の一途。つまり、人口減は少子高齢化によるもの。年齢別人口を見ても、生産年齢人口が全体の6割超を占め、働き盛りがたくさん。単独世帯は20年前に全体の27%だったのが、いまは30%を超えています。
また、東京なら23区に人が集中するように、大阪の場合は大阪市(274万人)、堺市(82万人)の人口が多く、次いで東大阪市、豊中市、枚方市、吹田市、高槻市などが続きます。ただし、直近で人口が増えているのは大阪市、豊中市、吹田市などで、堺市や枚方市などは反対に減っています。そうであれば、東京なら千代田区、中央区、港区といった都心3区、これに新宿区、渋谷区を加えた都心5区、あるいは先述した人が増えているエリア、大阪も大阪市をはじめとする人口が増えている場所に物件を持った方が、入居者には困らなさそうです。
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東京、大阪ともに再開発プロジェクトは目白押し!
将来の経済規模や雇用などを占う、再開発もチェックしましょう。
まずは東京。残念ながら延期しましたが、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ、すでに多くの商業施設やホテル、新駅などがオープンしています。ところが、本格化するのは、これからのこと。ざっと挙げるだけでも、以下のプロジェクトが控えています。
例えば渋谷エリア。すでに「渋谷ストリーム」や「渋谷スクランブルスクエア」などが竣工しましたが、今後は渋谷駅桜丘口や宮下公園が再開発。世田谷エリアでは、小田急小田原線の東北沢駅から世田谷代田駅までの間に「下北線路街」を整備。目玉なのは丸の内・大手町エリアの「大手町ワン」、「常盤橋街区再開発プロジェクト」といった大規模案件で、これにより街の様相は一変するはずです。電車は高輪ゲートウェイ駅が開業して、駅周辺では新たな街づくりが着手。虎ノ門にも東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅が今年オープンすると同時に、駅と一体開発する形で、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(仮称)」が2022年度の竣工を目指しています。さらに、2027年には品川―名古屋間でリニア新幹線が開業予定、羽田エリアや湾岸エリアの再開発プロジェクトも多数あり、ますます街は発展していくことでしょう。
大阪も引けを取りません。カギを握るのは、2025年開催予定の「日本国際博覧会(大阪・関西万博)とIR(カジノを含む統合型リゾート)の設置です。これらが決まれば、合わせて1兆円以上の投資額となり、周辺の交通網整備も含めて、大阪湾の景色は一気に変わるに違いありません。とりわけ、大阪メトロ中央線や京阪中之島線の延伸計画、大阪モノレールの延伸事業決定、近鉄奈良線の直通特急計画など、各路線の整備が実現すれば、人の流れも変わる可能性があります。
また、大阪では、うめきた2期再開発、中之島再開発に並び、御堂筋や難波、大阪城公園エリア、天王寺・阿倍野エリア、臨海部エリアと、大阪市内の各エリアを再整備する「大阪7大再生プロジェクト」も進行中です。2020年以降は本格化し、大阪の勢いはますます高まりそうです。
こうして比較すると、東京と大阪の両方で大規模再開発が控えていて、エリアのポテンシャツは甲乙つけがたいレベル。東西を代表する都市として、ますます発展していくことでしょう。
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ワンルームマンションを持つとすれば有利なのは?
では、実際に区分のワンルームマンション持つとするなら? そもそも、日本には412万の企業があり、都道府県別だと東京がトップ(46万件)で、大阪は2位(31万件)です。大手企業の本社は東京に集中していますが、大阪にもパナソニック、大和ハウス工業、日本ハム、ダイドーグループなど、名だたる企業が本社を構えています。これに加え、大手から中小企業の関西支社(支店)も数多くあり、雇用の受け皿として申し分ありません。そうであれば、どちらに物件を買っても問題ないのでしょうか。
まず注意したいのは、ワンルームマンションに対する規制です。東京の場合は23区すべての区の条例や指導要綱により建設が制限されていて、マンションを建てる時は一定数のファミリータイプを混在させたり、1室あたりの専有面積を25㎡以上にするなど、一定の要件をクリアしないといけません。これにより、都心部は需要に対して供給が追いつかない状況です。
大阪はどうかというと、大阪市は「大阪市ワンルーム形式集合建築物に関する指導要綱」で、住戸の専有面積は18㎡以上、天井高2.3m以上、その他に駐車場や駐輪場、管理人室の設置などの基準を設けていますが、東京ほど厳しくありません。ワンルームマンションは立てやすい状況です。大阪自体は人口が減っていますから、エリアによっては供給過多であることも…。場所選びは慎重にならざるを得ません。こうした背景は、ワンルームマンションを取り巻く数字にも表れています。
東京の場合、新築~中古の価格は3000万円台~1000万円弱で、単身者の多い中央区や品川区だと家賃は10万円前後です。賃貸物件の経年による賃料下落率は全国平均で1%/年と言われますが、23区内の人気エリアだとこの水準を下回ります。都内で最寄駅から徒歩10分以内の物件は入居率も95~98%と高いので、値下がり率を抑えやすいのです。物件オーナからすると、魅力的でしょう。
大阪の場合、キタ(梅田)やミナミ(難波)に30分以内でアクセスできる新築ワンルームで価格は2200万円前後、築10年前後で1800万円前後、築20年超は1000万円を切ります。賃料は25㎡前後なら6万~7万円が平均で、20㎡前後は狭い部類になるので5万円以下もザラにあります。家賃の下落率は東京より激しく、新築から5年で当初から5%~10%下がることも。お金の敏感な土地柄もあるのか、「古くなると家賃が安いのは当たり前」で、新築でも敷金礼金ゼロは珍しくなく、地域がら更新料もありません。それこそ、梅田・難波の好立地・好アクセスの物件なら入居率は95%以上を見込めますが、乗り換えが必要なエリアだと90%前後、通勤・通学に30分以上かかる物件は80%台、下手をするとそれ以下になります。
東京と大阪はともに大都市で人口も多く、エリアのポテンシャルを高める再開発も豊富という共通店がありました。ところが、ワンルームマンションの規制や需給の関係から見ると、東京は物件価格が高くて利回りは低くなりますが空室リスクは抑えやすい。大阪はそれより物件価格が安いものの家賃水準も低いので必ずしも高い利回りを期待できない、かつ家賃の下落リスクや入居リスクが高いとわかります。土地に精通しているなど、地域事情に詳しくないと苦戦するかもしれません。こうした点も考慮して、ワンルームマンション投資に臨む必要がありそうです。
表面的な部分にばかり見てしまうと、価格が安く将来性も東京と比べて甲乙つけ難い大阪でのワンルームマンション投資ですが、不動産オーナー目線から考えた場合には、東京独自のルールにおいて収益性が高く、家賃の下落率の低さや、マンションの建設に対しての規制を鑑みると、プレミア価値が高く安定した東京のワンルームマンション投資が安定した資産形成になると考えられます。
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