オーナーチェンジ物件を売却する際の注意点や流れを解説
オーナーチェンジ物件の売却は、買主側からすれば購入後にすぐ収益を得られるといったメリットがある一方、売主としては、一般的な売却と比べると注意しなければならないこともあります。
本記事ではオーナーチェンジ物件の売却について、注意点や流れ、売却を成功させるためのポイントなど解説していきます。
>>>オーナーチェンジ物件とは?メリット・デメリットとチェックポイントを解説
目次
Toggleオーナーチェンジ物件は売るべきか、売らないべきか
オーナーチェンジ物件とは、入居者の入った状態で売却される物件のことを言います。入居者はそのままで「オーナー」のみ「チェンジ」することから、「オーナーチェンジ」と呼ばれるのです。
オーナーチェンジ物件は購入後にすぐに利益を得られるといったメリットがあるものの、購入前に内覧できないので、設備の経年劣化の状況や、付帯設備の交換時期や動作確認が出来ないといった注意点もあります。オーナーチェンジ物件を購入するかどうかは、こうした注意点についてよく理解したうえで進める必要があるでしょう。
オーナーチェンジ物件を売却すると得られるもの
オーナーチェンジ物件として売却した場合、次のようなメリットがあります。
・まとまったお金を手に入れられる
・管理の手間から解放される
オーナーチェンジ物件を売却することで売却代金としてまとまったお金を得られるというメリットがあります。また、売却にあたって入居者に退去してもらう必要もないため、早期で売却も可能です。賃貸物件には、入居者の募集や審査・物件の修繕など多くの手間や時間・費用がかかります。
売却してしまうことで、これらの手間や費用から解放される点も、大きなメリットと言えるでしょう。
オーナーチェンジ物件を売却すると失うもの
売却してしまうと得られるものがある反面、失うものもあるものです。オーナーチェンジ物件を売却する場合、得るものと失うものを比較して検討する必要があります。失うものとしては、以下のようなものがあります。
・所有し続けることで得られる家賃収入
入居者のいる状態ということは、そのまま所有していれば賃料収入を得られたということでもあります。しかし、売却してしまえばそれ以降の賃料収入を得られなくなります。
オーナーチェンジ物件の場合、立地にもよりますが一般の居住用物件よりも売却額が安くなる傾向もあるものです。売却で得られる利益と賃貸を続けることで得られる利益を比較して、売却を検討する必要があるのです。
オーナーチェンジ物件を売却する時の注意点
オーナーチェンジ物件を売却する際に注意しなければならない点もあります。注意点としては、以下の5つが挙げられます。
・基本的に投資用として売却すべき
・売却価格が安くなりやすい
・入居率を重視しよう
・5年以内の売却は税率の高い短期譲渡税がかかってしまう。
・その他費用が発生する
基本的に投資用として売却すべき
オーナーチェンジ物件として売却する場合、通常の居住用物件として売却すると売却が難しくなるのでおすすめできません。また、売却を進めていると居住用として購入したいという人も現れるでしょうが、避けるほうが後々のトラブルを防ぐことにもつながります。
居住用の物件として売却を進めない理由には以下のことがあります。
・内覧ができないケースが多い
・住宅ローンが組めない
一つずつ次項で解説します。
内覧ができないケースが多い
居住用として購入する場合、内覧して購入するかを決めるのが一般的です。しかし、すでに入居者がいるため、入居者が内覧に応じてくれる可能性は低いと言えるでしょう。そもそも、入居者が退去に応じてくれなければ売却もできません。強制的に退去させるには、正当な理由が必要になるなど、制約が多く、基本的には難しいでしょう。
更新のタイミングとちょうど重なったとしても、入居者が内覧や退去に応じてくれるとは限りません。また内覧に応じてくれたとしても、内覧前にオーナーが部屋を掃除するわけにもいかないため、物件内部がひどい状況という可能性もあるものです。
居住用物件として購入してもらうには、入居者の退去や内覧対応が難しいという問題があるのです。
住宅ローンが組めない
住宅ローンは居住用物件の購入のためにあるローンであり、オーナーチェンジ物件のように収益性のある物件には利用できない点にも注意が必要です。居住用として購入する際には、住宅ローンではなく不動産投資ローンを組む必要があります。しかし、不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高く、返済期間も短くなる傾向があるものです。
居住用物件の購入に不動産投資ローンを利用するのは、購入者に不利になるため、買主がローンを組みにくいことから売りにくくなります。
売却価格が安くなりやすい
オーナーチェンジ物件は、物件の状態にもよりますが一般的に居住用物件よりも売却額が安くなりやすい点に注意が必要です。
オーナーチェンジ物件の場合、購入者が投資家などに限られているため需要が高くありません。また、収益物件は、売却額を算出するのに「収益還元法」を用いるため、収入が低いと売却額も低くなるのです。
入居率を重視しよう
オーナーチェンジ物件を売却する際のポイントは「入居率」です。入居率の高い物件であれば、買主の購入後の収入が確保できるので売却できる可能性が高くなるでしょう。反対に、利回りが高くても入居率が低い物件では、購入後の収入が得られないため買主から避けられてしまうのです。
すでに入居率が高い物件であれば、売れる可能性は高いと言えます。しかし、入居率が低い場合は、リフォームなどで物件の魅力を上げ入居率を高める工夫が必要です。
5年以内の売却は短期譲渡税がかかってしまう。
5年以内の売却は税率の高い譲渡所得税がかかってしまう点に注意が必要です。
不動産を売却すると利益に対して譲渡所得税が課されますが、所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得として20.315%の税率になるのに対し、所有期間5年以下の場合は滝譲渡所得として39.63%の税率となってしまいます。
5年以内の売却になりそうな場合には、5年超になるまで待ってから売却を検討するなどするとよいでしょう。
その他費用が発生する
また、オーナーチェンジ物件を売却する際には以下のような費用が発生する点を押さえておきましょう。
・印紙代
・借入金の一括返済手数料
・抵当権抹消費用
・賃貸管理契約の契約解除の違約金
特に重要なのが、最後の賃貸管理契約を契約解除する際の違約金です。
こちらは、管理会社との契約内容次第ですが、オーナーチェンジに際して買主が管理会社の変更を求める場合、管理会社に対して違約金を支払わなければならないケースがあるのです。
売却前に契約内容をよく確認しておくことが大切だと言えるでしょう。
オーナーチェンジ物件を売却する時のフロー
オーナーチェンジ物件であっても、基本的な売却の流れは通常の不動産売却と変わりません。オーナーチェンジ物件の場合は、レントロールの準備が重要になるので忘れずに準備しましょう。
以下では、オーナーチェンジ物件売却の大まかな流れを解説していきます。
・売却活動
・レントロールで賃貸状況の開示
・売買契約締結
・賃貸契約の引き継ぎとオーナー変更の通知
売却活動
物件の売却を決めたら不動産会社に査定依頼します。この時できるだけ多くの不動産会社に依頼し、査定額や会社を比較しながら不動産会社を選ぶようにしましょう。売却を任せる不動産会社を選んだら、媒介契約を結び売却活動がスタートします。
レントロールで賃貸状況の開示
レントロールとは、賃貸借条件を一覧にした書類のことです。この書類を見れば、入居者の属性や賃料・敷金の有無・入居条件などが分かります。物件の購入希望者が出た場合、物件情報だけでなくレントロールも開示して、物件の状況を詳しく説明します。
レントロールについては、基本的には委託している管理会社が作成してくれるでしょう。
場合によっては、不動産会社が作成してくれるケースもあるので、事前に管理会社や不動産会社に相談しておく必要があります。
売買契約締結
買主との売買条件が一致したら、売買契約を結びます。売買契約書には契約に関するルールが記載されているため、内容はしっかりと確認したうえで署名押印することが大切です。
また、売買契約時に手付金を受け取ります。手付金は解約手付の役割を果たしており、万が一、売主から売買契約を解除する場合は手付金の倍額を支払う必要があります。
また、ローン特約などで買主がローンを組めない場合などで解約する場合も、手付金を返還しなければなりません。手付金を受け取ったからといって安易にすぐ使ってしまわないようにしましょう。
賃貸契約の引き継ぎとオーナー変更の通知
売買代金を決済した後は、物件の引き継ぎをします。引き継ぎといっても所有権の移転登記と鍵の引き渡しのみで、特別な作業は必要ありません。また、買主がスムーズに賃貸契約を引き継げるように、賃貸契約内容の書面を準備しておくとよいでしょう。
オーナーチェンジ物件の場合は、入居者がいる状態のため、入居者に対してもオーナー変更の通知が必要です。入居者との賃貸契約内容はオーナーが変わっても変更せずに引き継がれますが、入居者にとっては「変更されるのでは?」と不安に思うところです。新しいオーナーや管理者の情報だけでなく、賃貸契約に変更がない旨や新しい家賃の振込先なども忘れずに通知するようにしましょう。
オーナーチェンジ物件の売却を成功させるコツとは
オーナーチェンジ物件は、買主が限定されるため売りにくい傾向があります。オーナーチェンジ物件の売却を成功させるコツには、次の3つが挙げられます。
・入居者が退去しないよう工夫する
・家賃をできるだけ高く保つ
・信頼できるパートナーを見つける
詳しく見ていきましょう。
入居者が退去しないよう工夫する
買主にとってのオーナーチェンジ物件の魅力は「すでに入居者がいて家賃収入が確保されている」という点です。反対に、空室のあるオーナーチェンジ物件は購入しても家賃収入が見込めない可能性があるため避けられてしまう可能性が高くなります。
オーナーチェンジ物件として売却するためには、入居者が退去しないように工夫することが大切です。
・売却前に更新期限を迎える入居者がいる場合は、更新料を無料にする
・管理会社の見直し
・家賃や敷金・礼金の見直し
・物件のリフォーム
上記のように、契約を更新してもらう工夫や新しい入居者をすぐに見つけられる工夫をするとよいでしょう。
家賃をできるだけ高く保つ
家賃が高い物件であれば、それだけ収益性が高くなるので買主にとってメリットとなります。しかし、相場よりもあまりに高すぎる家賃ではそもそも入居者が現れない・退去してしまうという事態にもなりかねません。
家賃設定をする場合は、利回りや相場・入居率などのバランスを考慮して設定するようにしましょう。
信頼できるパートナーを見つける
オーナーチェンジ物件を売却するには、不動産会社選びが重要です。オーナーチェンジ物件の取り扱い実績が豊富で、安心して売却を任せられる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社を選ぶ際には、一括査定で複数の不動産会社を比較検討するのがおすすめです。
また、直接不動産会社に相談するという方法もあります。
まとめ
オーナーチェンジ物件の売却についてお伝えしました。オーナーチェンジ物件は買主にとってメリットがありますが、通常と比べて特殊な物件となるため、売却には工夫が必要です。
本記事の内容を参考にするとともに、オーナーチェンジ物件の売却に詳しい不動産会社に売却を相談するとよいでしょう。
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