不動産投資は節税になるの?節税になる場合とカラクリについて解説
「不動産投資には節税効果があるのだろうか」
「不動産投資するなら節税もしたい」
この記事はそんな方のための記事です。「不動産投資は節税効果がある」不動産投資に興味がある方なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。たしかに不動産投資をすると、節税できる部分もありますが、実際にどのくらい節税できるのでしょうか。本記事では、「不動産投資は節税になるのか」について解説していきます。
【この記事のポイント】
- 不動産投資が節税効果があるといわれている理由がわかる
- 不動産投資による節税のカラクリについてわかる
- 節税目的での不動産投資のデメリットについてわかる
本記事をお読みいただき、不動産投資と節税について学び、あなたの不動産投資にお役立てください。
そもそもなぜ不動産投資=節税といわれているのか
不動産投資が節税効果があるといわれている背景には、なにがあるのでしょうか。その理由について解説します。
目次
Toggle所得税・住民税の控除
まずは所得税と住民税について解説します。この2つは密接に関わっていて、前年の所得に対して翌年の住民税が決定します。
例:2019年の所得に応じて2020年6月から住民税を支払います。
住民税の納付額は、所得によって変動するので所得が多い人ほど税金を多く納めるという仕組みになっているので、所得が確定しなければ、住民税は計算できないということになります。
そういう理由から、まずは所得の控除について解説します。不動産投資というのは、実際に支払われる金額以外にも帳簿上で様々な経費が認められています。
・租税公課
・減価償却費
・建物管理費
・修繕積立金
・賃貸管理費
・事務手数料
・登記費
・借入金利子 等
その為、家賃収入があっても経費を計上した総額だと「赤字」になりやすいのが特徴。不動産投資ではこの「赤字分」を確定申告することで所得から差し引く(損益通算)ことが可能です。つまり従来の所得で支払っていた所得税を赤字申告をする事で支払い過ぎた税金を手元に戻す事が出来るのです。その差額が「節税効果」となります。
不動産投資によって住民税を節税できるのは、確定申告によって所得が下がる為です。ここでは、細かい税金のことは割愛して単純計算で説明しますので、節税できる仕組みだけご理解いただければと思います。
例:(年間課税所得)900万 ー(不動産投資での赤字)200万 = 700万
国税庁ホームページより抜粋
年間所得900万…税率33% 900万×33%-1,536,000=所得税1,434,000円
年間所得700万…税率23% 700万×23%-636,000=所得税974,000円
節税金額=46万円(1,434,000-974,000)
本来なら年収900万円に所得税がかかりますが、200万円の赤字分が控除されるので年収700万円の所得税を納付することになります。それと同時に、住民税も900万円に対して税率が計算されるのではなく、700万円に対して計算されるので、住民税も節税できるようになります。(住民税は一律で課税所得の10%)
経費計上の優位性
経費の中で一番大きな割合を占める減価償却の控除についての解説です。減価償却とは、資産の使用可能な期間に応じて分割して経費計上することをいいます。例えば、残存耐用年数が10年で不動産の建物評価額が1,000万円だと仮定します。この場合、10年かけて減価償却していくので、1年で100万円ずつ(月に8万円強)を経費計上して償却していくという流れです。つまり月に8万円強の金額が、経費として計上されるので節税につながるということです。
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相続税での節税効果
相続税の控除について解説します。相続税の仕組みとして、現金5,000万円の相続より、5,000万の価値がある不動産で相続した方が、相続税が安く設定されています。その差額分が節税となるため、不動産投資は節税効果があるといわれています。
上記を例にすると、現金の場合は相続する5,000万円がそのまま相続評価額になりますので、その金額に対して課税されます。賃貸用不動産の場合は、様々な控除が認められていますので、相続税の評価額では4割程度で計算されます(不動産の状態による)。つまり同じ金額を現金で相続するよりも、不動産で相続したほうが節税効果があるといえるでしょう。
2015年の相続税増税で納税者が極端に増えた為、相続税対策として不動産投資を取り組む方が増えました。
不動産投資のよる節税のカラクリ
これまでにお伝えした控除の解説を聞く限り、不動産投資による節税効果が期待できそうですが、実は一時的な効果であり、長期的に節税効果があるとは限らないのです。そこが不動産投資における節税の最大のカラクリといわれています。
たとえば所得税と住民税の節税ですが、不動産投資が赤字だった場合にのみ節税効果があります。つまり、不動産投資分が黒字化すれば、節税効果はなくなり、税金を納めなければなりません。
さらに長年不動産投資を続けていくと、減価償却期間が過ぎてしまうことがあります。そうすると経費として大きい減価償却費の経費計上ができなくなりますので、節税効果が殆どなくなります。また借入して不動産を購入した場合、借入金が減るほど経費計上できる利息の支払い分も減るため、ここでも節税効果が期待できなくなります。
節税効果は、初年度の登記費等の諸費用に関わる経費計上が大きい為、非常に有効的だと思われる方も少なくないでしょうが、次年度以降での不動産投資による節税効果はそこまで効果は見込めません。
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節税目的での不動産投資のデメリット
ここで、節税目的で不動産投資を始めた場合のデメリットを紹介します。
ケース① 物件選定をしなかった
不動産投資で重要なことの1つが「購入する物件の目利き」です。購入した物件に需要がないと借り手が決まりづらく、空室期間が増えてしまうので、そもそも不動産投資自体が成り立ちません。しかし、節税効果を目的として不動産投資をはじめる方の多くが節税することが目的になってしまい、物件の目利きまで考えず、不動産業者がオススメした物件をそのまま購入してしまう場合があります。
その物件がたまたましっかりと運用できれば良いのですが、そうではない場合、家賃収入が入らない状態で不動産を運用することになります。そうなると、節税以上の赤字になり資金繰りの悪化というリスクを負うことになります。
不動産投資をする場合は、投資物件の地域の状況や将来性、需要と供給のバランス、購入金額の妥当性などを考慮した上で購入する必要があります。
ケース② 物件管理にはいろいろと管理費がかかる
不動産投資をするということは、物件を管理する立場になるということです。物件を管理するためには、固定資産税や保険、修繕などの維持費かかります。投資期間が長くなれば長くなるほど、その様な費用は増えていく傾向にあります。場合によっては、節税した分以上の維持費がかかってしまうこともあるので、それも考慮して不動産投資を考えたほうがいいでしょう。
一番避けなければいけないことは、不動産会社が提案する初年度のシミュレーションが永続的に続くと錯覚をする事です。
【まとめ】不動産投資と節税について
本記事では、不動産投資と節税について解説しました。不動産投資は、条件があえば節税も可能ですが、メインは「投資」ですので、節税目的だけでの不動産投資は考えなおしても良いかもしれません。また、不動産投資は長期視点で考えなければならないので、目先の節税対策のために行うのは本末転倒になる場合があります。ご自身で判断つかない時は、専門家に相談しましょう。
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