コロナショックで不動産投資の融資は厳しい?日本銀行の金融緩和政策や銀行の融資の現状を解説
不動産投資家の間では「コロナショックでしばらく不動産投資の融資が厳しいのでは?」と心配する声が上がっています。
2020年4月に不動産投資家を対象に行った調査では「コロナショックでネガティブな変化があった」と答える投資家が7割以上にのぼり、今後金融機関の投資用ローン等が厳しくなると予想する方は数多いです。
しかし、日本銀行では金融緩和政策を強化し企業への融資を積極的に行っており、銀行を始めとした金融機関では、不動産投資の融資はほぼ変わらず行われています。
コロナショックが与えた不動産投資市場への影響のアンケート結果や、日本銀行の金融緩和政策、銀行の融資状況を見ていき、今後の不動産投資の融資について考えてみましょう。
目次
Toggleコロナショックによる不動産投資の融資への影響は?
新型コロナウイルス感染症拡大により日本・世界経済は大きな打撃を受け、含み損を抱える結果になった投資家は数多いです。不動産投資家の中には家賃収入が減少した方もいらっしゃる事でしょう。
2020年4月に一般財団法人「日本不動産研究所」が行った「不動産投資家調査」を基に「コロナショック」が不動産投資市場に与えた影響を見ていきましょう。新型コロナウイルス感染症拡大が「不動産投資市場に現在(4月まで)の段階でどのような変化があったと思いますか?」との質問に対しては以下のような結果が出ました。
「これまでにがネガティブな変化があった」と回答した不動産投資家は全体の74.6%に及び、「今のところネガティブな変化はない」と答えた投資家は15.4%に留まりました。
続いては「ネガティブな変化があった」と答えた投資家に「具体的にどのような事象がありましたか?」と質問した結果を見ていきましょう。
1位の「歩合賃料の減少等、運用物件にかかる収入減がみられた」、2位の「予定されていた売買取引を見合わせる動きがあった」が突出して多い結果となりました。
融資に関しては、「レンダー(融資を行う金融機関)の貸し出し条件が厳しくなった」と答えた投資家は34ポイントに留まり、現在悪影響を受けている投資家は少ないようです。
今後新型コロナウイルス感染症拡大に対して「ネガティブな影響がある」と答えた投資家は96.9%で、「今後どのような変化があるか」との問いに対する結果は以下のようになっています。
結果は既に影響を受けている「賃料減少・運用物件の収入減」が第1位で、続いて予定されていた売買取引の見合わせ、既存の大型テナントから解約通告が出てくる、REITや投資ファンド対象の投資家の基準が厳しくなるという回答でした。
融資に関しても127ポイントと多くの投資家が「貸し出し条件が厳しくなるのでは」という心配を抱いていますが、実際の融資状況はどのようになっているのでしょうか?
日本銀行は4月に金融緩和政策を行い、企業・個人事業主向けに無利子・無担保で融資を行う事を決定しました。詳細を見ていきましょう。
日本銀行の企業への金融緩和の強化:総額約110兆円
2020年4月に日本銀行は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、企業の資金繰りが悪化する等融資が厳しくなっている事から、CP(短期社債)・社債等の借り入れの増額、企業向け融資の資金をゼロ金利で金融機関に貸し出す「新型コロナ対応金融支援特別オペレーション」の拡大等の金融緩和政策の強化を行う事を発表しました。
CP・社債等は従来の約3倍である合計約20兆円を上限に買い入れを実施し、新型コロナ対応金融支援特別オペレーションは約90兆円となり計110兆円が民間企業への資金繰りの支援に充てられます。
三井住友銀行などの金融機関では、「新型コロナ対応金融支援特別オペレーション」を活用し「特別ファンド」を制定、大企業だけではなく中小企業にも融資を行っています。
企業への融資を行う事は経済活動への下支えと共に、金融機関の融資基準を緩和する狙いがあります。
某地方銀行員に聞いた銀行の融資の現状
現在地方銀行を始め民間の金融機関では融資への相談や申し込み件数が急増しています。民間の金融機関でも個人事業主、小・中規模事業者を対象に、無利子・無担保で最大3,000万円を5年間融資する制度が開始されました。
金融庁が金融機関等に出した事業者や個人への資金繰り等への要請を出したことが影響しており、住宅ローンや個人向けローンについても個人顧客のニーズを踏まえた条件変更等について柔軟な対応を求められています。
某地方銀行員によると上司から「どんどん融資の契約を」と指示が出ることもあり、休日返上で働いている銀行員は数多いとの事です。
地方銀行は非常に慌ただしい状況ですが、不動産投資用の融資に関しては変わりなく受け付けている所がほとんどです。
不動産投資の融資はどうなる?
今後も日本銀行が金融緩和政策を推し進めていくのであれば、融資は緩和され投資用ローンも組みやすくなり、不動産投資は活況した状態を取り戻せる可能性が推測できます。
金融庁は新型コロナウイルス感染拡大前から「個人投資家の参加拡大」を目標としており、投資しやすい市場の整備、投資家の信頼が得られる投資市場の確立等に向けて新たな施策を検討していました。
不動産投資においては、国土交通省が不動産投資教育の推進を始めとした不動産投資を行いやすい環境整備や、CRE(企業不動産)や老朽化不動産の活用、REIT市場の拡大を推し進めています。
最近不動産投資において融資基準の一つである「年収額」が引き下がった金融機関もありますので、不動産投資の融資は変わらない、または緩和される可能性があります。
しかしながら、金融機関側の自粛の状況や、ソーシャルディスタンスによって通常業務に影響がある場合が多く、融資実行までの進み具合には影響が出ている様です。
まとめ
コロナショックで収入が減少した投資家はいるものの、不動産投資の融資は決して厳しい状況ではありません。金融機関は融資の申し込みが増えているものの、不動産投資の融資は変わらず行っておりむしろ融資基準が緩くなった事例も存在します。
投資用ローンを組み、不動産投資の長所の一つである高いレバレッジ効果で安定した家賃収入を手に入れましょう。
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