不動産投資は節税になる?節税になる仕組みと軽減できる税金を解説
「不動産投資で節税できる」と聞いたことはあっても、どのような仕組みで節税効果が期待できるのかわからない方は多いでしょう。
今回の記事では、不動産投資で負担を軽減できる税金の種類や、節税の仕組みについて解説します。
不動産経営自体を失敗させないための方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Toggle不動産投資が節税になるのか
不動産投資は節税になります。
しかし、誰でも不動産投資で節税効果が期待できるわけではなく、属性によって節税への向き・不向きがあります。
不動産投資で節税に向いているのは主に給与所得が高い人です。
日本では、課税所得が一定額を超えれば超えるほど高い税率を乗じる「累進課税制度」を採用しており、所得が高い人ほど納税額が多いので、節税効果が高くなるのです。
所得税率は、下記のように課税所得金額に応じて5%〜45%の幅で税率が乗じられます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円〜194万円 | 5% | 0円 |
195万円〜329万9,000円 | 10% | |
330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円〜 | 45% | 479万6,000円 |
例えば、課税所得金額が400万円と800万円の場合では以下のように所得税額が変わります。
【課税所得金額:400万円のケース】
400万円 × 20% – 42万7,500円 =37万2,500円
【課税所得金額:800万円のケース】
800万円 × 23% – 63万6,000円 = 120万4,000円
このように所得が高い人ほど税負担を軽減でき、不動産投資における節税効果を得られやすいのです。
不動産投資の所得税の計算方法
不動産所得にかかる所得税は下記の計算式で算出できます。
不動産収入 - 必要経費 = 不動産所得の金額
このうち、必要経費には下記のような項目が含まれます。
不動産収入 | 必要経費 |
・家賃収入
・礼金 ・更新料 ・共益費 ・管理費 ・駐車場代 |
・減価償却費
・地震、火災保険料 ・管理委託費用 ・修繕費 ・修繕積立金 ・固定資産税 |
不動産投資は所得をすべて合算して算出する「総合課税」の対象なので、不動産所得の金額
と給与所得を合わせた金額で所得金額が算出されます。
詳しくは後述しますが、この仕組みを利用して節税効果を得る方法が損益通算です。
不動産投資で軽減できる税金の種類
不動産投資で軽減できる税金の種類を、以下にまとめました。
不動産投資で節税できる税金 | |
所得税 | 1年間の収入の総額から経費・控除額を差し引いた部分に課せられる税金 |
住民税 | 所得税と同様に所得に応じた金額に課せられる税金 |
相続税 | 故人から財産を受け継いだときに発生する税金 |
これらの税金を節税できる仕組みについて、次章でお伝えします。
不動産投資で節税できる3つの仕組み
不動産投資で節税できる仕組みは、以下の3つです。
- 減価償却を利用できる
- 損益通算が使える
- 評価額を下げられる
節税における仕組みや特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 減価償却を利用できる
不動産投資は減価償却を活用して、節税効果を得られます。
減価償却とは、原則10万円以上の資産に対して法律で定められた使用年数(耐用年数)で少しずつ経費計上する会計手続きのことです。減価償却で計上する経費を減価償却費と呼びます。
減価償却は、建物の構造別に以下のように定められています。
建物の構造 | 耐用年数 |
鉄筋鉄骨コンクリート造 | 47年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
れんが・ブロック造 | 38年 |
金属造(骨格材の肉厚が4m〜の建物) | 34年 |
金属造(骨格材の肉厚が3m〜4mの建物) | 27年 |
金属造(骨格材の肉厚が〜3mの建物) | 27年 |
木造 | 22年 |
例えば、新築木造住宅を2,200万円で購入した場合、毎年の減価償却費は下記のようになります。
2,200万円 ÷ 22年 = 100万円
上記の例では、毎年計上できる減価償却費は100万円となります。
この減価償却の仕組みを利用すれば、実際に手元からキャッシュが出ていないにもかかわらず会計上は赤字となり、耐用年数を迎えるまでの期間の税負担を軽減できるのです。
なお、土地には経年劣化という概念がないため、減価償却の対象は「建物のみ」に限られます。
2. 損益通算が使える
不動産所得には損益通算が使えるので、節税効果を得られます。
損益通算とは、赤字の所得と黒字の所得を相殺することで、課税所得額を減らせる制度のことです。
給与所得が赤字になることはないですが、不動産投資は減価償却費などの各種経費によって赤字になります。そのため、本来なら給与所得にかかっていた課税所得額が減らせるので、節税につながるのです。
例えば、本業の給与所得が800万円であれば120万4,000円が所得税額となります。そこに、不動産投資の赤字額である200万円を損益通算したとすると600万円に対しての課税になるので、課税所得額は77万2,500円となります。
上記の例では、43万1,500円が節税できる税額です。
3. 評価額を下げられる
不動産投資は相続税対策になります。
現金を不動産に変えると財産の評価額が下がるため、結果的に相続税が引き下げられるからです。
例えば、現金の形で相続すると「1億円=1億円」と評価され、1億円に対して課税されます。しかし、不動産の場合は「建物 = 固定資産評価額」「土地 = 路線価」として評価されます。
評価方法にはいくつか種類がありますが、おおむね土地は8割程度・建物は5割程度です。
つまり、1億円の価値がある土地であっても評価額では8,000万円となり、1億円の建物だったとしても5,000万円まで引き下げられるのです。
加えて、購入した不動産を賃貸事業で利用をしていれば、土地は2割程度・建物は3割程度さらに評価額を引き下げられます。
つまり、1億円で購入した土地の相続税評価額は6,400万円となり、建物であれば3,500万円となるのです。
土地・建物を合わせると相続税評価額は9,900万円なので、2億円の現金が約半分引き下げられたことになります。
相続税率をかけると、現金2億円の相続税額は8,000万円・2億円で購入した投資物件は1,980万円となるので、6,020万円節税できる計算となります。
節税目的の不動産投資を失敗させないための方法
ここまで、不動産投資で軽減できる税金の種類や節税できる仕組みについて解説しました。
最後に、節税目的での不動産投資を失敗させないための方法についてご紹介します。
経費を使いすぎない
節税効果を高めようとして、必要がない経費を使いすぎないようにしましょう。
確かに本業の黒字を相殺する効果はありますが、手元のキャッシュを考慮しなければ、節税どころか家計に充てるお金すら圧迫してしまう可能性があるからです。
不動産収入だけならまだしも、資産が減ってしまうほど経費は使わないようにしましょう。
不動産経営自体は成功させる
不動産投資はあくまで投資です。そのため、節税のメリットを狙っていたとしても、収益性の悪い物件に手を出してはいけません。
節税効果以上の赤字になっては本末転倒です。あくまで投資自体は成功させる気持ちで挑みましょう。
まとめ
今回の記事では、不動産投資によって節税できる税金の種類や仕組みについて解説しました。
不動産投資を行うことによる節税効果はあります。しかし、節税効果を狙いすぎてキャッシュフローが悪化してしまっては、不動産は資産どころか負債と化してしまいます。
不動産投資を始める際は、資産を減らす結果とならないよう、健全な収支計画を立てて挑みましょう。
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