個人事業主で不動産投資を始めると有利?法人化のタイミングも解説
不動産投資に興味をお持ちの方のなかには、会社員をしながら副業として始めたい、と考えている方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では会社員を続けながら、個人事業主として不動産投資に取り組むメリットやデメリット、法人化する適切なタイミングについて解説していきます。
目次
Toggle個人事業主が不動産投資で有利な理由
会社員が個人事業主として不動産投資を始めると、税制上のメリットが受けられる・融資審査に通過しやすいなど、さまざまなメリットがあります。
とくに融資の面では、年収の安定している会社員は銀行からの信用も高く、長期融資を認めてもらいやすくなるなど、待遇面でも有利です。
融資の条件が良ければ手元に多くのキャッシュを残せるので、空室が続いたとしても持ち堪えられるうえに、設備面などさまざまなブラッシュアップにも資金を充てられます。
個人事業主が不動産投資をする3つのメリット
副業で、個人事業主として不動産投資を始める最大のメリットは、収入が増えることですが、それだけではありません。
続いては、そのほかのメリットについて、詳しく解説していきます。
1.本業に支障が出にくい
一般的に、不動産投資の運営は管理業務を委託するため、比較的時間や手間がかかりません。
たとえば日々の業務には、入居者募集・入金の管理や催促・修繕・クレーム対応などが挙げられます。これらは、個人ですべてこなすのは大変ですが、家賃の5%程度を管理会社に支払うことで外注できるのです。
おおむねの業務を任せられるのであれば、物件オーナーはポイントで協力する程度の稼働で運営を続けられます。
業種によっては繁忙期があるため、本業が忙しく管理に手が回らない時期もありますが、不動産投資であれば、管理を業者に協力してもらえるので、本業と並行して続けやすいでしょう。
2.青色申告特別控除を受けられる
個人事業主として副業を始めると、青色申告の申請ができるようになります。
青色申告は、1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得金額から最大65万円の特別控除が受けられます。
そもそも来年の納税額というのは、今年1年の所得から一定の金額をかけて算出されるので、所得をさらに減額できる青色申告特別控除は大きな節税効果が得られるのです。
会社員は給与所得なので青色申告ができませんが、個人事業主として不動産投資を始めれば「事業所得」にあたるので、申請の対象者となります。
3.不動産投資の費用を経費計上できる
会社員には原則認められていない経費も、個人事業主であれば経費計上ができます。
さらに、不動産投資が赤字だったとしても「損益通算」により、本業の給与所得の黒字を不動産投資の赤字で相殺できるようになるので、節税につながります。
不動産投資で経費として認められる項目は、以下のとおりです。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 固定資産税
- 損害保険料
- 減価償却費
- 印紙税
- 修繕費
- ローン金利
- 各種保険料
- 管理委託料
- 広告宣伝費
「事業で収入を得るために使った費用」は経費に該当するので、上記以外にも、不動産投資の勉強のために使ったセミナーや書籍代・不動産会社の方と打ち合わせに必要となった交際費なども経費計上できます。
また、項目にある「減価償却費」というのは、物件の購入額と耐用年数を合わせて、数年に分割して経費計上できる鑑定科目です。
つまり、多額の費用が必要となる初年度だけが経費として引かれるのではなく、数年にわたって経費計上できるので、長期的な節税効果があります。
個人事業主が不動産投資をする2つのデメリット
不動産投資は、本業と並行しやすく税制面でもメリットがありますが、付帯するデメリットもあります。
ここでは、2つのデメリットについて解説します。
1.確定申告の手間が発生する
副業で年間20万円以上の所得が生じると確定申告が必要になります。
先ほどお伝えした青色申告は税制面では大きなメリットをもたらしますが、複式簿記での記帳が必要となる点がデメリットでしょう。
記帳とは、不動産投資を運営するうえで発生する日々の取引内容やお金の流れを帳簿に記録することです。
帳簿の作成を自分で行うには簿記や経理の知識が多少必要となるので、インプットする時間を確保しなければなりません。
2.予期せぬ費用が発生することがある
不動産投資で物件を運営していると想定外のタイミングで支払いが発生するケースがあります。
たとえば、空室期間が長期間続いてしまった場合、広告宣伝や設備の見直しなど、物件の稼働率を上げる対策を打たなければなりません。
修繕費であれば、家の補修が必要となる期間や場所などはある程度想像できるのですが、入居が決まりにくい物件では、この先かかる費用を計算するのは難儀です。
また、入居が決まったとしても入居者が家賃滞納を起こし、家賃収入が一時的にストップする可能性もあります。
急な出費で資金ショートを起こさないためにも、物件購入価格の15〜30%ほどの貯金がある状態でスタートするのが望ましいでしょう。
個人事業主が不動産投資で融資を受けるための3つのポイント
会社員は収入が安定しているため、専業の投資家より融資は受けやすい傾向にあります。
しかし、融資審査の判断基準は住宅ローンとは少し異なるので、融資通過率を高めるために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1.返済能力を証明できる資料を提出する
融資審査に通過するためには、返済能力の証明が必要です。
源泉徴収票や預貯金通帳など、本業の収入が長期間安定して得られていて、かつ手元に資産があることを証明できる資料を用意しましょう。預貯金は直接の担保にはなりませんが、いざという時に換金できるので、高評価につながります。
さらに、住宅ローンの審査では主に収入を重視されますが、不動産投資ローンでは、収入に加えて事業性も評価されます。
つまり、事業として成り立つ事業計画や現実的な資金繰りプランも必要です。
一般的には、融資審査を通過するには年収500万以上で、年収の7〜10倍までは融資を受けられると言われています。
しかし、事業計画や返済能力が評価されると、年収500万円未満でも融資を受けられる可能性は高いでしょう。
2.カードやローンを滞納しない
カードやローンの返済状況は信用情報機関のなかで共有されるので、融資が受けにくくなります。
1日、2日の遅延であれば問題にはなりませんが、頻度の多い支払い遅延や長期間にわたる滞納は、信用情報機関のなかで遅延情報として記録されます。
クレジットカードの引き落とし日を過ぎないよう、注意しましょう。
個人事業主が不動産投資で法人化するタイミング
個人事業主が法人化するタイミングは、年間の利益が800万円を超えたあたりが目安です。
日本の税制では、個人事業主は「累進課税」が適用されており、利益が少ないうちは税率5%と低いのですが、所得が上がると最大45%まで税率が跳ね上がってしまいます。
法人化すれば「法人税」に変わるので、所得が上がっても税率は最大で23.2%に抑えられます。
個人事業主が不動産投資を成功させる方法
不動産投資を成功させるには、投資家本人が常に学ぶ姿勢であることが重要です。
物件を購入する際にはもちろん、不動産会社と相談しながら決めることになるでしょう。
しかし、自分のなかに不動産投資に関する知識や考え方を持っておかないと、業者の提案する情報がすべてになってしまい、正確な判断をするのが難しくなります。
自らが不動産投資に詳しくなり、情報を集めたうえでプロに相談することが成功させる方法と言えるでしょう。
まとめ
今回の記事では、個人事業主が不動産投資を始めるメリットやデメリット、不動産投資を成功させる方法について解説しました。
まずは、Webメディアや書籍などを参考に学習し、基本知識が身に付いたら勉強会やセミナーなどに参加してみるのがオススメです。
自らが詳しい状態でプロの意見を聞くと、新たな発見やアイデアを獲得しやすくなるでしょう。
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