新型コロナで家賃が払えない!?不動産オーナーに関する支援制度一覧
新型コロナウイルスの影響でやむなく休業した店舗や失業した入居者等、経済的な事情で家賃が払えない方が増えています。飲食店等テナントが入ったビルといった事業向けの物件、マンション・アパート・戸建て等個人向けの物件を持つオーナーは「家賃を滞納されたら困る」「家賃の減額を交渉されたらどうしよう」と心配な事でしょう。不動産のオーナーに関わる国や自治体の支援制度、税金の減免制度をご紹介します。
各種給付金・支払い猶予等の支援制度を知ることで、入居者や事業者といった借主が家賃を払えない時に適切な対応をする事ができます。まずは国の支援制度から見ていきましょう。
目次
Toggle政府による不動産オーナーに関わる給付金3種
政府では新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人、住宅・ビル・店舗等の借主に対して給付金制度を設立しています。また、条件に当てはまる不動産オーナーには持続化給付金が給付されます。
自粛要請があった事業者に対し家賃を給付する「家賃支援給付金」や経済的に困窮し家賃を支払うことが困難な個人への「住宅確保給付金」、売上げが減少している法人・個人事業主を対象とした「持続化給付金」の3つをご紹介します。
オーナーとして家賃収入を確保するために、3つの制度を借主に勧めるケースや申請を行う可能性もありますのでぜひご覧ください。
家賃支援給付金
家賃支援給付金制度は2020年6月7日に発足しました。新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした自粛要請で売上げが減少した事業者に対し、家賃を給付する支援制度です。
店舗経営において、家賃が固定費として大きな負担となっていることから、事業継続の下支えとして家賃を給付する方針です。
事業用に不動産を賃貸しているオーナーを間接的に支える制度でもあります。
中小企業や小規模事業者、個人事業主等の方が5~12月において、1ヶ月いずれかの売上高が前年同月比で50%以上減少、または3ヶ月連続の売上げが前年同月比で30%以上減少している場合に給付の対象となります。申請時の直近の支払い家賃月額の6ヶ月分が支給されます。
法人の場合は1ヶ月辺りの上限額が100万円で家賃の内75万円までが2/3、75万超の部分が1/3となっています。
個人事業主の場合は37.5万円までが2/3、37.5万円を超える部分は1/3で、月の上限は50万円となっています。
内容が変更される可能性もあり、最速で給付は7月以降になる見通しです。
今後、経済産業省のホームページをチェックしていきましょう。
【経済産業省のホームページ】
住宅確保給付金
住宅確報給付金は失業等により経済的に困窮して家賃を支払いが困難な方への支援制度で、2015年より始まりました。
離職・廃業してから2年以内の65歳未満、ハローワークに求職の申し込みをしている方を対象としていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による休職者の増加により、就業していても離職や廃業と同程度の状態であれば給付対象と変更されました。ハローワークへの申し込みも不要です。
収入・資産に一定の条件はありますが、家賃が原則3カ月間(求職活動を誠実におこなっている場合は3カ月延長。最長9カ月まで)貸主または貸主から委託を受けた事業者に直接振り込まれる仕組みとなっています。
入居者が「失業又は休業により家賃を支払えない」という事態に陥った際に、オーナーにとっては安心できる制度と言えるでしょう。
持続化給付金:個人のオーナーは基本的に対象外
売上げが前年同月と比べ50%以上減少している事業者を対象とした「持続化給付金制度」は、個人事業主の場合「不動産収入」を売上げの対象外としています。
確定申告の際に家賃収入を「不動産収入」として計上しているオーナーは給付の対象外となり、「事業収入」として計上しているオーナーは最大100万円まで給付金を受け取る事ができます。
不動産会社等法人の場合は家賃収入が「事業収入」となりますので、最大200万円までが給付の対象となります。
経済産業大臣は「個人の保有する資産を運用するという意味では、株式投資と類似しており給付金の趣旨とはなじまない」といった旨の説明をしていますが、「個人のオーナーのほとんどが給付の対象外であり不公平だ」という声が出ています。持続化給付金は対象が変わった事例もありますので、今後の動向に注目しましょう。
【持続化給付金ホームページ】
新型コロナの影響を受けたテナントのオーナーの税金等の減免・猶予措置
新型コロナウイルスの影響で家賃が払えない飲食店等が入ったビルのオーナーに対し、固定資産税・都市計画税の減免措置や税・社会保険料の猶予、減免した賃料を損金として計上可能等の支援策が行われています。
減免したテナントの賃料を税務上損金扱いに
飲食店等のテナントが新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、事業継続が困難になった場合または困難になる恐れが明らかな時、入居しているビルの賃料を減額した場合損金として計上できます。
固定資産税・都市計画税の減免措置
新型コロナウイルスの影響で事業等に係る収入に相当の減少があった場合、2021年度の固定資産税・都市計画税が減免されます。
2020年2~10月までの前年同月比が連続する3カ月間(任意)で50%以上減少した場合は全額、30%以上50%未満の場合は2分の1が減額されます。
また、オーナーがテナント等の家賃を減免した際、書面等により家賃を猶予した時も「収入の減少」とみなされます。
税・社会保険料の猶予
新型コロナウイルスの影響で税金・社会保険料を納める事が困難な場合には、1年間納付が猶予され、延滞税は軽減されます。
納付期限が2020年 2月1日~2021年1月31日までの税・社会保険料で上記と同様に支払いが困難な際は、延滞税を取られることなく1年間猶予が可能です。
オーナーがテナント等の家賃を減免した時や、税・社会保険料の納付期限内に家賃支払いを猶予した際は「収入の減少」として扱われます。
8割の家賃補助が出る自治体も:賃料補助に関する取組み
鎌倉市や千葉市などの自治体で、新型コロナウイルスの影響で売上げが減少したテナントへの家賃補助や、賃料減額に応じたオーナーに対し補助金を出す等の取組みを行っています。
例えば、神奈川県鎌倉市では個人・法人の中小事業者に対し前年同月比の売上が5%減少した場合、2ヶ月分の家賃相当額が補助されます。売上げの減少率に応じた上限額以内で、2020年1月1日から申請時点まで鎌倉市内に住民登録をしている等一定の条件を満たす必要があります。
千葉県千葉市では、休業要請に応じた飲食店等が入居しているビルのオーナーのうち、賃料を減免したオーナーに対し1テナントにつき1ヶ月50万円を上限とした家賃の8割を補助する「テナント支援協力金制度」を行っています。
その他、北山形市や北九州市・福岡市などで賃料補助の取組みが行われています。事業賃貸を行っている方は、該当する自治体のホームページを調べてみましょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響でオーナーに直接・間接的に関わる支援制度をご紹介しました。個人向け賃貸・事業用賃貸問わず、借主の収入・業種によって家賃の減額や猶予をお願いされることがあります。
要請に応じる、断るという選択肢の他に、この記事を読む事で上記の支援制度を紹介するという方法が可能です。家賃収入を減らしたくないオーナーは、とりあえず延納に応じる、支援制度を紹介する等の対応で今後も借主と良好な関係を築きましょう。
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