不動産投資ローンと住宅ローンの違いとは?併用や借り換えは可能?
不動産投資ローンと住宅ローン、どちらも住宅を購入するために契約しますが、金利や返済期間が異なるのは何故でしょうか?
不動産投資が賃貸経営用で住宅ローンは個人が住むためという目的や返済原資の違いにより、不動産投資用ローンの審査基準が厳しくなり金利が高くなる傾向があるのです。2つのローンは併用して契約できるのでしょうか?また借り換えは可能なのでしょうか?
この記事では不動産投資ローンと住宅ローンの5つの違い、ローン併用、ローンで悩んだ時の対処法等をお伝えしていきます。
目次
Toggle不動産投資ローンと住宅ローンの違い5つ
不動産投資ローンと住宅ローンは「住宅購入のための融資」という点は共通していますが、借入の目的や返済原資、金利・融資審査・年齢制限と5つの違いがあります。
事業用と個人の居住用といった借入の目的や、返済の元となるお金が給与であるか家賃収入であるかによって、金利や年齢制限・融資の審査基準に影響を及ぼします。
1. 借入の目的
不動産投資ローンと住宅ローンは、借入の目的が「事業用」「個人の居住用」という違いがあります。不動産投資では事業として不動産賃貸業を経営し収益を得る事が目的ですが、住宅ローンは個人が住むための家を手に入れる事が目的です。事業用である不動産投資用ローンは、住宅ローンに比べ金利が高めに設定されており融資の審査も厳しくなっています。その為、住宅ローンで不動産投資を行いたいという方がいらっしゃいますが、金融機関との契約違反にあたりますので投資用ローンを組みましょう。
2. 返済原資
住宅ローンの返済原資はサラリーマンの場合は給与収入、自営業の方は事業収入となります。一方投資用ローンでは購入した不動産の家賃収入が返済原資となります。修繕やリノベーション等経営の維持費用も家賃収入から賄うため、購入前には利回りやキャッシュフローの試算が重要となってきます。
3. 金利
住宅ローンの金利は2020年10月現在0.5%~2.5%程度ですが、不動産投資ローンは2%~5%程度と住宅ローンより高金利に設定されています。
不動産投資用ローンは返済原資が家賃収入で、給与・事業収入で返済する住宅ローンより貸し倒れのリスクが高いことから金利が高めとなっているのです。
4. 融資審査
住宅ローンの融資審査は融資申込者の年齢・収入・職場・家族構成や過去の個人信用情報等「個人の属性」のみを基準に判断されます。投資用ローンでは個人属性に加え、購入予定の物件の収益性や積算価格も審査項目に加わり、より審査が厳しめになっています。
ただし、融資額は住宅ローンより多く設定されます。一般的には年収の10~20倍と言われていますが、諸条件により前後する可能性があります。不動産投資で購入する物件はあくまで事業用であり、事業の収益性が見込めない場合ローンを組む事は厳しくなるでしょう。
5. 年齢制限
住宅ローンは給与・事業収入が返済原資の為、年齢の上限は定年を迎える65~70才程度に設定されています。投資用ローンは多くの金融機関で80才程度まで借入が可能です。相続税対策に不動産を購入する方が多い事や返済原資が家賃収入という理由ですが、70才以上になると既に不動産賃貸事業で実績を出している事や資産を多く持っていることが求められる可能性が高くなります。
不動産投資ローンと住宅ローンは併用できる?
不動産投資ローンと住宅ローンを併用して契約する事は可能なのでしょうか?
結論から言えば場合によっては併用可能ですが、「不動産投資ローンと住宅ローンのどちらを先に契約したか」が問題となってきます。住宅ローンを先に契約した場合、不動産投資ローンの融資審査では「債務がある」と判断されてしまいます。
ただし、住宅ローンの残債が少ない時や完済したケースでは負債として審査される可能性は低いでしょう。ローンの残債が多いと審査では不利になると考えられます。
一方で不動産投資ローンを先に契約した時は不動産事業と本業の収入を合算してもらえますので、黒字の際は有利に赤字の際は不利に働きます。
例えば本業の年収が600万円、不動産投資で200万円稼いでいる場合は年収800万円と判断され、融資額が増え金利を優遇してもらえる可能性が高くなるでしょう。不動産投資で年間100万円の赤字を出している場合は、600万円-100万円で年収500万円と審査されることがあります。
不動産投資ローンと住宅ローンを併用したい場合は、できれば不動産投資ローンを先に申し込みましょう。
また、不動産事業で黒字経営が可能であるか収支シミュレーションを行った上でローンを検討しましょう。金融機関によって融資の方針が異なりますので、ローンを検討している金融機関に相談に行ってみると良いでしょう。
住宅ローンで投資用物件を購入するのはNG。必ず不動産投資ローンで
住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が低く融資審査が厳しくない上に、条件を満たせば住宅ローン控除等を受けられます。そのため住宅ローンで投資用物件を購入したいという方もいます。
しかし、金融機関との契約違反となり信用を失い、今後の融資が困難になるでしょう。ローンの一括返済を求められる事が多く、最悪の場合は詐欺罪として訴えられる可能性もあります。くれぐれも住宅ローンで投資用物件は購入せず、不動産投資ローンを利用しましょう。
ローンで悩んだら融資限度額と返済比率を計算してもらう
「既に住宅ローンを組んでいるけど、不動産投資ローンの審査に通るだろうか?」「ローンで融資がいくら受けられるかを知りたい」という方は、返済比率と融資限度額を金融機関で計算してもらいましょう。
返済比率とは年収に占める返済額の割合で、2つのローンを組み合わせて返済比率が金融機関の許容範囲内であればローンを併用する事が可能です。
年収や職業・勤続年数といった個人属性で判断され、金融機関により基準は異なります。融資限度額も同様に金融機関により判断されますので、ローンを組む前に尋ねてみる事をおすすめします。
不動産は流動性が低く現金化しにくい資産の為、購入前に返済シミュレーションをしっかり行っておくことが重要です。
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