不動産投資の始め方!目的別のメリット・デメリットと失敗しないためのコツ
老後の収入不安や生命保険の見直し等を理由に、ビジネスパーソンの間で人気の不動産投資。
収益物件を購入すると家賃収入が毎月に手に入り、将来的な生活は安定する商品ですが、そのためには不動産投資の目的やメリット・デメリットをしっかり理解しておくべきです。むしろ、ポイントを押さえないで始めると不労所得がたまるどころか、毎月家計からお金が出ていく恐れもあります。
ここでは、そんな不動産投資の「失敗しないコツ」を解説します。
目次
Toggle【目次】
1.不動産投資とは?
2.不動産投資のメリット・デメリット
メリット①:安定した収入の確保
メリット②:生命保険の代わりになる
メリット③:インフレ対策
デメリット①:空室・老朽化リスク
デメリット②:金利リスク
デメリット③:流動性・価格下落リスク
3.不動産投資を始める前に「目的」を明確にしよう
目的①:インカムゲイン
目的②:キャピタルゲイン
目的③:節税
目的④:相続税対策
4.不動産投資の始め方
ステップ①:基礎知識を学ぶ
ステップ②:投資の目的・購入物件を定める
ステップ③:物件探し
ステップ④:ローン審査
ステップ⑤:賃貸経営スタート
5.初心者が不動産投資で失敗しないコツ
コツ①:賃貸ニーズのある場所で買うこと
コツ②:物件のスペックと利回りもチェック
コツ③:信頼できる相手から買うこと
6.まとめ
不動産投資とは?
賃貸マンションやアパート、オフィスビルなど収益物件を購入し、賃貸運用で家賃収入を得る不動産投資。企業やファンドが大型のオフィスや商業施設、住居を運用し、テナントや入居者から家賃を得る大型のプロジェクトがあるかと思えば、地域の地主が中小型のマンションやアパートを専業で経営したり、現在はビジネスパーソンが副業で始めることも珍しくありません。
個人が不動産投資を始める理由としては、「公的年金だけでは老後が不安」「FIREを考えている」「不労所得で暮らしたい」「生命保険の見直しとして活用したい」など。
ビジネスパーソンの場合は安定収入があり、大手企業勤務や医師や弁護士など高ステイタスの職業だと金融機関から融資を受けやすいので、取り組みやすいのが最大の特徴です。購入する物件タイプは区分マンション、一棟アパート・マンション、戸建て住宅が一般的で、一棟物件に比べると価格が安く、日々の管理も専門の管理会社に任せることができる区分マンションは特に人気のジャンル。
ここから始めて経験を積んで一棟物件にステップアップしたり、シェアハウスや駐車場、店舗物件などに幅を広げる投資家もいます。いずれにしても重要なのは、ニーズのある場所に物件を買うことです。借り手がいないことに家賃収入は得られません。人口の多い都市部であったり、単身者の多いエリアでワンルームタイプを買うなど、地域特性に応じた物件選びが不動産投資の成否を握っているといえます。
不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資には良い面ばかりではありません。賃貸物件を持つことによるリスクも生じます。ここでは、代表的なメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット①:安定した収入の確保
収益物件を運用することで安定した家賃収入が期待できます。オフィスであれ住居であれ物件を借りるときは年単位になりやすいので長期的な収入になりやすく、景気が停滞しても賃料は大きく下がることが殆どありません。
仮に本業の収入が減ったとしても賃料収入で補填したり、定年後は家賃収入が私的年金の代わりになります。
メリット②:生命保険の代わりになる
金融機関から融資を受けて収益物件を購入する場合、団体信用生命保険(団信)への加入が義務付けられています。これは、借主がローンの返済中に死亡したり、所定の高度障害などになると、ローンの残債が保険から支払われるので、死亡保険の代わりになります。
万が一のことがあっても、家族にはローンを完済した物件が残るので売却して大きな資金を得る事も、貸して家賃を撮り続ける事も可能になります。また、最近の団信にはがん保険を付帯する事が出来るので、万一、ガンになってしまった際には死亡保険と同様にローンの残債が無くなるので、家賃収入で治療を行ったり、売却して大きな資金を得る事も可能になります。
メリット③:インフレ対策
仮にインフレが進むと物価も上昇しますが、それに伴い地価も上がります。結果、家賃を値上げしたり、物件を売却して利益を得ることも可能です。
また、投資した不動産は土地・建物ともに自身の資産になります。賃貸運用だけではなく、家族の家を建てるなど、さまざまな活用法が考えられるでしょう。
デメリット①:空室・老朽化リスク
入居者が退室しても、すぐに次の入居者が見つかるとは限りません。空室になると家賃は入らずとも、ローンの返済は続くので家計が一気に悪化する恐れがあります。建物は経年劣化するので老朽化したまま放置すると借り手はさらに減り、空室リスクが高くなったり、家賃の引き下げを余儀なくされることもあるようです。
こうしたリスクを避けるため、投資用不動産を管理会社が借り上げ、空室の有無に関係なく一定の金額をオーナーに支払う「サブリース」が近年は注目されています。ただし、管理会社の管理費などの費用がかかるため支払われる金額は通常の賃料より低くなり、一方的に引き下げられるなどのトラブルも見受けられます。
デメリット②:金利リスク
融資を使って不動産投資をする際、固定金利型に比べると金利の低い変動金利を選択するオーナーは少なくありません。
ただし、変動金利は景気の変動により金利が上昇した結果、毎月の返済負担額が増えるリスクがあります。借り入れ期間を短くする、固定金利のローンを提供する金融機関で借りるといった対策が必要です。
デメリット③:流動性・価格下落リスク
不動産は額が大きいので、売却したくてもすぐに買い手が見つかるとは限りません。都心の区分マンションなら数が多く需要もあるため比較的流動性はありますが、一棟物件や郊外・地方の物件だと流動性リスクに注意すべきでしょう。
立地や建物の規模・設備など慎重に物件を選ぶことがリスク回避につながります。また、不景気などにより購入した物件の価格が下落する可能性もゼロではありません。エリア自体が寂れるなど、景気以外の要因も考えられます。賃貸需要の底堅い場所で優良物件を選ぶことです。
このように、不動産投資にはメリット・デメリットの両面があります。ただし、賃貸ニーズのあるエリアで最寄駅から近い物件を買うなど、対策を講じることでリスクは抑えることが可能です。ここで挙げたポイントを考慮して、購入物件を見極めましょう。
不動産投資を始める前に「目的」を明確にしよう
いざ不動産投資を始めるとしても、「目的」が明確でないと購入すべき物件のタイプを間違えたり、その結果、思い描いていたゴールにたどり着けないことがあります。なぜ、不動産投資をするのか、まずは目的を決めることで、何をすべきかも見えてきます。ここでは、代表的な4つの目的を挙げました。
目的①:インカムゲイン
安定した家賃収入が目的で、セミリタイアやリタイアも視野に入れているなら、利回りが高くキャッシュフローの出やすい物件がお勧めです。都市部までアクセスが良く空室リスクが低い物件を選ぶのがポイントとなります。
ただし、こういった物件はライバルも多いので競争が激しく、一棟物件は物件数自体も少なくなります。目利き力のある専門の仲介会社を頼ったり、みずから不動産会社に足を運びコネクションを作る必要があるでしょう。
目的②:キャピタルゲイン
安く買って高く売り抜ける、キャピタルゲイン狙いの不動産投資も、立派なジャンルの一つ。ある程度の期間は運用し、その後は売却して利益を確定するという流れです。
ただし、専門的な知識が求められるので基本的にはプロがすることで、個人の場合はたまたまキャピタルゲインを得られた、くらいに考えるのがよさそうです。専業の場合は、全室空室や任意売却の物件などを安く買い、再生してから転売するという手法が一般的。ただし、うまくいかないと転売先が見つからなかったり、キャピタルロスが生まれるリスクを負う必要があります。
目的③:節税
不動産投資では、得た収入から建物の減価償却費やローン金利、固定資産税、都市計画税などの必要経費を差し引くことができ、これにより所得税などの節税効果が期待できます。
加えて、不動産投資での赤字は他の所得などと損益通算することにより、所得税・住民税などの節税も可能です。このように節税を目的に不動産投資をする場合は、土地より建物比率が高く減価償却費を多く計上できる区分マンションや、修繕費などがかかる築年数が古いマンションを選ぶことになります。
一方、築古だと想定以上の修繕費がかかったり、空室リスクの影響が大きくなることもあり、しっかりと収支のシミュレーションをしてから始めたいものです。
目的④:相続税対策
相続の際、現預金や株式などは時価で評価されますが、投資用不動産は実勢価格より低い路線価で評価されるので、相続税額を低く抑えることができます。
これを目的に収益物件を購入する富裕層は少なくありません。この場合、好立地で資産価値の下がりにくい物件を買うのがポイントですが、いざ買ったものの賃貸運用の実績がなく国税から相続税の圧縮を認められないケースも。地主が相続税圧縮を目的に敷地内に新築アパート・マンションを建てることもありますが、収支を考えないで始めた挙句にローンが返済できず、家計が火の車になることもあるようです。
以上のように、不動産投資の目的により、買うべき物件のタイプは大きく異なります。不動産の素人にはわからないことも多くあるので、専門家に相談するのも手です。
不動産投資の始め方
不動産投資は大金が動くだけに、失敗するとその後の人生を左右するほどインパクトがあります。失敗にないためにも、ステップを踏んで始めるべきです。具体的な流れをここでは紹介しましょう。
ステップ①:基礎知識を学ぶ
「利回り」「空室」など、不動産投資には専門用語が多くあり、何も知らずに始めると失敗するリスクは高くなるばかりです。いまは不動産投資に関する書籍がたくさんあり、インターネットにも専門のサイトも多く、専門業者によるセミナーも開催されています。積極的に参加して知識を養いましょう。
ステップ②:投資の目的・購入物件を定める
家賃収入なのか節税なのか、投資の目的が決まると購入すべき物件のタイプも決まってきます。また、収入や勤務先、保有資産といった属性でどれだけの融資を受けられるかも異なります。ビジネスパーソンの場合は、物件価格が手ごろな区分マンションから始めるのが一般的です。
ステップ③:物件探し
収益物件の専門の会社、不動産のポータルサイト、町の不動産店などの情報を頼りに、物件探しを始めます。ただし、初心者が一から探し回るのは大変で、専門の事業者から紹介してもらうのが、メジャーな方法です。
ステップ④:ローン審査
購入したい物件が見つかれば、金融機関からの融資審査に進みます。一戸目はもちろん二戸目以降に資産規模を拡大するにも銀行の協力は必要不可欠です。事業計画書を提出するなど、本気度を見せることが審査をクリアするポイントといえます。一方、専業の仲介会社の場合は金融機関と提携していて、有利な条件で融資が下りることもあります。
ステップ⑤:賃貸経営スタート
購入が終わると、いよいよ運用が始まります。物件の管理は専業の管理会社に任せると、普段の手間がかかりません。管理会社と協力しながら、入居者の対応、退去後の修繕、次の募集などを行いスキルアップ図ることです。コツをつかむことで稼働率の高い賃貸経営が実現したり、資産規模の拡大につながりそうです。
初心者が不動産投資で失敗しないコツ
初心者が不動産投資で失敗しないためには、何に注意すべきでしょうか。ここでは、3つのコツをまとめました。
コツ①:賃貸ニーズのある場所で買うこと
首都圏であったり、都市部にアクセスしやすい、主要駅に近い、最寄駅から徒歩10分以内など、賃貸ニーズのある場所かどうかは、しっかりと見極めないといけません。いくら立派な物件でも、周りに人がいないことに、ただの箱です。「住みたい」と思う場所に物件があることで、不動産投資のリスクを抑えることができます。
コツ②:物件のスペックと利回りもチェック
築年数や設備、間取りなど基本的なスペックも重要で、周辺に比べて妥当な家賃設定でないと、誰も選んではくれません。新しい物件は最新の設備でセキュリティも万全ですが物件価格が高くて収益性が低くなりがちで、築古物件は低価格で高利回りかもしれませんが、将来の修繕リスクを考慮する必要がありそうです。利回りだけで飛びつくと、後悔するかもしれません。首都圏の区分マンションなら5%前後など、平均的な利回りと比較することも大切です。見かけの利回りが高くても、ふたを開けると建物はボロボロなど、思わぬ失敗を回避できるでしょう。
コツ③:信頼できる相手から買うこと
収益物件の仲介会社はたくさんありますが、サービスクオリティは各社でバラバラ。親身になって物件を紹介したり、購入後の管理までワンストップで提供するところもあれば、売ったらそれで終わりというところも…。顧客に寄りそったサービスを提供する会社を選ぶことです。
まとめ
いかがでしょうか。不動産投資にはメリット・デメリットがあり、目的によって購入する物件タイプが違うこともわかりました。まずは勉強から始めることも大切です。これらを踏まえたうえで、実行に移しましょう。
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