不動産投資で節税できる税金を解説!シミュレーションや注意点も紹介
不動産投資を始めてみたいという人の中には「不動産投資をすると節税になる」と聞いたことがある人もいるかと思います。実際のところ、不動産投資を通して節税効果を得るのは可能です。しかし、節税対策をする際に幾つか注意点が存在します。
そこで本記事では、不動産投資で節税できる税金の紹介から、不動産投資で節税する際の注意点を紹介します。自分がどれくらい節税できるか知りたいという人向けに、年収別の節税シミュレーションも紹介しますので参考にしてください。
目次
Toggle不動産投資で節税できる税金は5つ
不動産投資で節税できる税金は、所得税、住民税、贈与税、相続税、法人税の5つです。それぞれの税金について、節税の仕組みと具体的な方法を見ていきましょう。
不動産投資でかかる税金について詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>> 不動産投資にかかる税金はいくら?課税対象の内訳や税軽減効果について解説
所得税
所得税とは、個人の所得に課せられる税金を指します。不動産投資においては家賃収入や売却益などに対して所得税が課されます。所得税の節税は、減価償却費や借入金利などの経費を計上するのが手段のひとつです。また、不動産投資による赤字を他の所得と相殺することで、損益通算の節税効果も得られます。
住民税
住民税は、所得税と同じく不動産投資による所得に対して課される税金です。住民税は、所得税の課税所得に10%の税率をかけて計算されます。住民税を節税するには、所得税と同じく経費の計上や損益通算を行なうことで、課税所得が減らせます。
贈与税
贈与税とは、1月1日から12月31日の1年間に贈与を受けた財産に対して課される税金です。贈与税は、贈与された財産の価額から基礎控除額である110万円を引いた金額に税率をかけて計算されます。不動産投資の場合は、不動産自体を贈与する際に発生する税金です。不動産投資で贈与税が節税できる理由は、現金と不動産とで評価額の差異が生まれるためです。
不動産の評価額は建物が固定資産税評価額、土地が路線価や倍率方式によって算出されます。
相続税
相続税は、不動産を相続することで発生する税金です。相続税は、相続財産の評価額から一定の控除額を引いた金額に税率をかけて計算されます。相続税を節税するには、相続の前に不動産を贈与することや、相続人の人数を増やすことで、控除額を最大限に活用できます。
法人税
法人税は、不動産投資を法人で行なう場合に発生する税金です。法人税は、法人の所得に対して課される税金で、税率は法人の規模や種類によって異なります。
法人税を節税するには、法人の所得を減らしたり、法人の規模を小さくしたりといった手段により、税率を下げられます。
不動産投資で節税するには確定申告が必要
不動産投資で節税するには、確定申告を行なう必要があります。確定申告を行なうことで、減価償却費や借入金利などの経費を計上したり、損益通算を行なったりすることが可能です。毎年行なわれる確定申告期間(2月16日~3月15日)までに、不動産投資に関する書類や領収書などを用意しておきましょう。あらかじめ必要書類を整理しておくと、スムーズに行なえます。
不動産投資の確定申告をする前に確認しておきたい、確定申告で経費になる項目や条件に関する詳細は以下になります。
>>【不動産投資】経費になる?ならない?条件や確定申告の注意点も解説
不動産投資の節税効果シミュレーション
不動産投資の節税効果をシミュレーションするには、以下のような手順で行なえます。
1. 不動産投資物件の購入価格や家賃収入、借入金利などの情報を集める
2. 減価償却費や経費などを計算する
3. 不動産投資による所得や税金を計算する
4. 損益通算を行なう場合は、他の所得や税金も計算する
5. 節税効果を算出する
弊社ではおもに年収500万円~1,000万円のオーナー様が多いため、今回は500万、700万、1,000万円の3パターンの年収の人が同物件を同条件で購入し、不動産投資を行なった場合の節税効果をシミュレーションしてみました。
【物件の情報】
●購入価格:5000万円
●家賃収入:300万円
●借入金利:200万円
●構造 :木造
【シミュレーションする年収】
●500万円
●700万円
●1000万円
まず税額を計算する前に課税所得金額を算出しましょう。課税所得金額とは名前の通り課税される所得金額のことで、実際の計算は以下のように行なわれます。
課税所得金額=給与収入-給与収入控除-基礎控除-社会保険料控除
課税所得が導き出せたら、次は所得税と住民税を計算します。それぞれの計算式は以下の通りです。
所得税=課税所得✕所得税率-所得税控除
住民税=課税所得✕10%
所得税の税率と所得税控除額は課税所得に応じて定められています。それぞれの課税所得や所得税・住民税を計算したものが以下の表になります。
●年収別の課税所得金額と所得税・住民税
年収 | 課税所得金額 | 所得税 | 住民税 | 合計税額 |
500万円の場合 | 236万円 | 14万円 | 24万円 | 38万円 |
700万円の場合 | 371万円 | 32万円 | 38万円 | 70万円 |
1000万円の場合 | 634万円 | 82万円 | 64万円 | 146万円 |
※小数点切り上げで計算
続いては不動産投資を行なっている場合の税金計算をシミュレーションしていきましょう。
今回のケースでは、減価償却費は、購入価格の9割(4,500万円)を耐用年数(木造を想定し22年)で割って、年間204万円となります。経費は、家賃収入の6%(18万円)とします。
不動産投資による所得は、家賃収入(300万円)から借入金利(200万円)、減価償却費(204万円)、経費(18万円)を引いた金額で、マイナス122万円です。赤字のため、所得税の控除は適用されません。不動産投資で発生した赤字を他の所得との相殺によって、損益通算の節税効果が得られます。
上記物件で不動産投資を行なった場合、それぞれの年収で得られる節税効果は以下の通りとなります。
●年収別の課税所得金額と所得税・住民税(不動産投資を行なっている場合)
年収 | 損益通算後の課税所得金額 | 所得税 | 住民税 | 合計税額 |
500万円の場合 | 114万円 | 6万円 | 12万円 | 18万円 |
700万円の場合 | 249万円 | 16万円 | 25万円 | 41万円 |
1000万円の場合 | 512万円 | 60万円 | 52万円 | 112万円 |
※小数点切り上げで計算
以上のように、不動産投資によって損益通算を利用すると、所得税・住民税の節税効果が得られます。もちろん、不動産投資の条件や他の所得の額によって、節税効果は変わってきますので、自分の状況に合わせて計算してみましょう。
関連記事はこちら>> 年収1000万円のサラリーマンが税金を減らすおすすめ節税対策4選
節税効果が期待できる物件
不動産投資で節税効果が期待できる物件とは、どのようなものでしょうか。一般的に、節税効果が高い物件は、以下のような特徴を持つものです。
●購入価格が高い
●減価償却費が多い
●借入金利が高い
●家賃収入が低い
上記を評価基準としてアパート、マンション(一棟所有・区分所有)といった物件種別ごと、かつ新築中古で節税効果の違いをまとめたものが下記表になります。
減価償却費の多さ | 借入金利の高さ | 家賃収入の低さ | 家賃収入の低さ | |
新築マンション | 高い | 少ない | 物件での差異なし | 高い |
新築区分所有 | 低い | 少ない | 物件での差異なし | 低い |
新築アパート | 高い | 多い | 物件での差異なし | 低い |
中古マンション | 高い | 少ない | 物件での差異なし | 高い |
中古区分所有 | 低い | 多い | 物件での差異なし | 低い |
中古アパート | 低い | 多い | 物件での差異なし | 低い |
以上のように、比較的高い節税効果が期待できるのは新築アパートや中古の区分所有・アパートです。また、クレドでは、新築も中古物件もどちらの物件も取り扱っています。節税効果を狙って不動産投資を行なおうと考えている方は、まずは無料のセミナーへお気軽にご参加くだ
さい。セミナー一覧ページはこちら>> クレドの不動産投資に関する無料セミナー一覧
不動産投資で節税を狙う際の注意点
不動産投資で節税を狙う際には、以下のような注意点があります。ひとつひとつ見ていきましょう。
節税効果だけで物件を選ばない
不動産投資で節税効果が高い物件は、キャッシュフローの悪化を引き起こすケースがあります。そのため、節税効果だけで物件を選ぶと、不動産投資のリスクが高くなる可能性もあるでしょう。
不動産投資で物件を選ぶ際には、節税効果だけでなく、キャッシュフローの状況や物件の立地や需要なども考慮しましょう。節税効果は、不動産投資のメリットの一つですが、目的ではありません。不動産投資の目的は、資産形成やキャッシュフローの確保です。節税効果は、その目的を達成するための手段の一つと考えるべきです。
売り時など出口戦略をシミュレーションしておく
不動産投資で節税を狙う際の注意点に出口戦略が関わってきます。節税効果を狙うために減価償却費の高い物件を選んだ際はデッドクロスに遭遇するリスクがあります。
不動産投資におけるデッドクロスとは元金返済額が減価償却費を上回る状態のことです。デッドクロスが起こると減価償却費による節税効果が薄くなるうえに返済額はそのままの状態となり、負担が大きくなっていきます。最悪の場合、資金繰りが悪化し、不動産投資の運営が困難になる恐れも考えられます。
このような事態を回避するためにはデッドクロスを予測し、売り時などの出口戦略をシミュレーションしておくと良いでしょう。
不動産投資の出口戦略についての詳細記事はこちら>> 不動産投資における出口戦略の基本を解説!売却を成功させる4つのポイント
まとめ・不動産投資をするなら節税効果を知って賢く運用しよう!
不動産投資で節税できる税金は所得税をはじめとし、5種類存在します。ただし、確定申告が必要になるため、申告忘れのないように注意しましょう。
購入金額を抑えたうえで、高い節税効果を狙うためには中古のアパートや区分所有を選択するのがおすすめです。
ただし注意点として、節税を意識しすぎて不動産投資本来の目的を見失ってしまうと、不動産投資の運営自体ができなくなる恐れがあります。収益を得られるかどうかや、最終的な出口戦略までシミュレーションして物件を見極めることが、不動産投資を成功させるためのポイントです。しっかり理解して不動産投資に挑みましょう。
クレドでは、不動産投資初心者向けに無料のセミナーや個別の投資相談など行っています。節税対策だけでなく投資を始めるうえで気になる点などありましたらお気軽にお問い合わせください。
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