不動産投資の9つのリスクとそれぞれの対処法を徹底解説!
不動産投資は、節税対策や管理会社に任せた運用ができるなどメリットがある一方で、いくつかのリスクがあります。
本記事では、不動産投資の代表的なリスク9つと、それぞれの対処法を解説していきます。これから不動産投資を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Toggle不動産投資にはリスクがある
不動産投資は、メリットがある反面、投資である以上リスクもあります。しかし、不動産投資のリスクは他の投資よりも予想しやすいという特徴もあるのです。
また、さまざまなリスクがありますが、それらはある程度共通化されているものでもあり、理解しておけば対策も立てやすくなります。不動産投資する際には、利回りや収支だけを気にするのではなく、リスクも理解して対策しておくことが大切です。
不動産投資の9つのリスクとその対処法
不動産投資の代表的なリスクとしては、次の9つがあります。
・家賃滞納リスク
・金利上昇リスク
・災害リスク
・事故リスク
・老朽化リスク
・家賃下落リスク
・不動産価値下落リスク
・管理会社倒産リスク
リスクを恐れるだけでなく、正しく理解し対策することでより安心して不動産投資できるようになります。ここでは、それぞれのリスクとその対処法について紹介します。
1. 空室リスクと対処法
不動産投資するうえで、もっとも大きなリスクが空室リスクです。空室リスクとは、賃貸物件の入居者が決まらず長期間の空室が発生するリスクのことを言います。
不動産投資では家賃収入が主な収益となるため、空室は収益のマイナスに直結するものです。不動産投資では、常にこの空室リスクとの闘いになることを覚悟しておきましょう。
空室リスクへの対処法としては、次のようなことが有効です。
・需要の高い物件を選ぶ
・競合リサーチ
・賃貸会社選び
不動産を選ぶ際には、需要の高い物件を選ぶことが大切です。立地や築年数など需要が見込める不動産であれば、空室リスクを低くできます。
また、競合リサーチも重要です。周辺地域の競合物件をしっかりリサーチし、その結果に沿って物件の修繕や適切な家賃設定などすることで、入居者を集めやすくなるでしょう。入居者募集などを管理会社に委託する場合は、集客に強い管理会社を選ぶことで空室リスクを軽減できます。
2. 家賃滞納リスクと対処法
家賃滞納リスクとは、入居者がいるにもかかわらず家賃滞納されてしまうリスクのことを言います。空室リスクよりも厄介なリスクがこの家賃滞納リスクです。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所が公表している、第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』によると、2020年下期の全国の滞納率は5.0%、首都圏で4.1%・関西圏では8.2%に上ると発表されています。20人に1人は滞納していることになり、滞納リスクは身近なものでもあるのです。
空室リスクの場合、入居者が決まれば解消します。しかし、家賃滞納リスクはすでに入居者がいるため、新しい入居者を探せません。単純な支払い忘れなら大きな問題にはなりませんが、悪質な滞納者の場合、滞納を続けたまま居座るケースも多いのです。
その場合、訴訟や強制退去などの手続きに手間や費用が掛かるなどオーナーの負担は大きなものになります。
家賃滞納リスクへの対処法には、次のようなことがあります。
・入居前審査をしっかりする
・家賃保証会社を利用する
家賃滞納しそうな入居者に入居されないことが一番の対策と言えるでしょう。入居前審査では、職業や入居の理由・それまでの転居歴などを確認することが大切です。入居前審査を管理会社に委託する場合も、情報を共有するなどの対応をするようにしましょう。ただし、入居前審査が厳しすぎると入居者から避けられてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
また、滞納に備え家賃保証会社を利用しておくのもおすすめです。家賃債務保証会社と契約することで、滞納時に家賃を肩代わりしてくれます。契約費用が発生するので、契約内容の確認と費用とリスクのバランスを考慮して判断するとよいでしょう。
3. 金利上昇リスクと対処法
不動産投資ローンの金利が上昇してしまうリスクを金利上昇リスクと言います。金利が上がってしまうと、支払総額が増え毎月の支払額が増加し、キャッシュフローが悪化する可能性が高くなるものです。
現状、日本の住宅ローンや不動産投資ローンは低金利ではあります。しかし、この低金利がいつまでも続く保証はありません。新型コロナウイルス対策やエネルギー価格の高騰にともない、世界的に急速なインフレが進み各国がインフレ対策として利上げを実施しています。また、2022年12月には、それまで金融緩和政策を維持していた日銀が、利上げに踏み切ると公表したのです。
実際、2022年以降住宅ローンの固定金利の金利は上昇傾向にあります。今後、金利が上昇するリスクが高まっている点には注意して、対策を講じる必要があるでしょう。
金利上昇リスクへの対処法としては、次のようなことがあります。
・固定金利にする
・繰り上げ返済
・必要以上に借りない
固定金利にすることで、金利上昇へのリスク回避が可能です。ただし、不動産投資で固定金利を設定している金融機関は少なく、ある場合も金利が高い傾向にあるので注意しましょう。
今後は変動金利の金利が上昇する可能性が高いため、できるだけ固定金利で借り入れられる金融機関を探すことをおすすめします。変動金利で借り入れる場合、返済額や返済期間を短くすることで、金利上昇の影響を小さくできます。頭金を多く入れ借入額を少なくすることや、繰り上げ返済することも有効です。
金利上昇リスクには、借り入れしすぎないことも重要なポイントとなります。自己資金に余裕を持ち頭金を多く入れることや必要以上の借り入れをしないことで借入額を下げれば、金利上昇の影響を小さくできるでしょう。また、資金に余裕がある状態で経営することで、ある程度の金利上昇でも運用資金に大きな損失を与えることなく経営できます。
4. 災害リスクと対処法
地震や台風・水害などの自然災害や火災といった災害によるリスクを災害リスクと言います。不動産投資は、建物という現物資産に投資します。災害に巻き込まれてしまうと、建物の損傷や倒壊などで修繕費用が高額になり、場合によっては家賃収入を絶たれてしまう可能性もあります。
日本は地震大国とも呼ばれ、また、毎年のようにどこかで自然災害が発生しています。災害がいつ・どこで起こるのかは予測できず、災害に巻き込まれる可能性は高くはないもののゼロにはできないのです。
災害リスクへの対処法としては、次のような方法があります。
・火災保険への加入
・複数のエリアで不動産を経営
火災保険に加入することで、火災だけでなく台風や水害での損害に備えることが可能です。同時に地震保険への加入も検討しましょう。ただし、過去に災害のあったエリアは保険料が高い可能性があります。災害時のリスクを表示したハザードマップで不動産のあるエリアの災害リスクを確認したうえで、必要な保険を検討することが大切です。
また、複数の不動産を所有する場合、エリアを分散することでリスクを軽減できます。一つの不動産が災害に巻き込まれても、他の不動産の収益で賄えるように経営するとよいでしょう。
5. 事故リスクと対処法
所有する不動産内で、孤独死や自殺・事件などが起き事故物件化してしまうことを事故リスクと言います。事故物件化してしまうと、物件の資産価値が下がってしまう可能性があります。
原状回復に費用がかかるだけでなく、原状回復しても次の入居者がなかなか決まらずに収入を得られない可能性も高くなるのです。少子高齢化の進む日本では、孤独死の割合も増加傾向にあります。事故リスクは予想が難しいリスクであり、可能性は高くはないですがゼロにすることも難しいリスクでもあるのです。
事故リスクへの対処法としては、次のようなことがあります。
・複数の不動産を経営する
・保険の加入
一つの不動産が事故物件になってしまっても、他の物件の収入があればカバーできます。事件防止のためには、防犯対策として防犯カメラなどの設備を検討するのもよいでしょう。
火災保険などの中には、自殺や事件・孤独死などに対応した商品もあります。万一の場合に備えて、保険の加入を検討するのも一つの対策となります。
6. 老朽化リスクと対処法
不動産が老朽化することで、修繕費や設備の交換のための費用が想定以上にかかるリスクを老朽化リスクと言います。
築年数が進むことで老朽化して修繕費がかかることはある程度予測できるでしょう。しかし、想定以上に老朽化による費用がかさむこともあり、想定以上の支出でキャッシュフローが悪化します。また、老朽化リスクでは、老朽化に伴い「資産価値の下落」「家賃の下落」「空室率の上昇」などの引き金ともなるのです。
老朽化リスクへの対処法としては、次のような方法があります。
・定期的なメンテナンスと適切な修繕
・老朽化も視野に入れた長期的な収支計画を立てる
築年数が経過することで老朽化するにはどの不動産でも避けては通れません。しかし、適切にメンテナンスすることで老朽化を遅らせることは可能です。修繕も小規模なうちに済ませることで後々高額な支出となるのを防げるでしょう。
また、老朽化に伴う支出まで考慮して長期的な計画を立てることで、想定外の支出によるキャッシュフローの悪化を防げます。
7. 家賃下落リスクと対処法
家賃を下げざるを得なくなり、収入が予定よりも得られなくなるリスクを家賃下落リスクと言います。
家賃は、最初は高く設定していてもいつまでも同じ水準を保てるわけではありません。物件の老朽化や空室などを理由に、家賃を下げざるを得ない状況も出てくるのです。家賃が下がることで稼働率は同じでも、収入が大きく減少します。家賃の下落が予定外の場合、収入だけではローンの返済が厳しくなる可能性があるのです。
家賃リスクへの対処法としては、次のような方法があります。
・物件を適切に管理する
・将来の家賃下落まで含めてシミュレーション
家賃下落を招く要因として、物件の老朽化が挙げられます。老朽化した物件で入居者を確保するには、家賃を下げる必要性があります。老朽化を少しでも遅らせられるように、適切に物件を管理するようにしましょう。また、老朽化することを考慮して修繕計画を立てることや、将来の家賃下落まで想定して事前にシミュレーションしておくことも大切です。
8. 不動産価値下落リスクと対処法
不動産価値が下落することで、売却時に損失が出るリスクを不動産価値下落リスクと言います。
不動産は築年数が経過することで資産価値が減少するものです。さらに適切に管理できていない物件や需要の低い物件は、想定よりも資産価値の減少が早くなります。
そのような要因で、購入額よりも売却額が大きく下がることで、不動産投資トータルでマイナスになる可能性もあるのです。
不動産価値下落リスクへの対処法としては、次のような方法があります。
・価値の相場を理解する
・適切に売却する
不動産は築年数に応じて資産価値が減少します。一般的に、木造の場合は新築から築10年ごろまで資産価値は大きく減少していき、築20年を経過したら資産価値はゼロと言われます。
ただし、不動産は築年数だけでなく立地なども資産価値に影響を与えるものです。自分の所有する不動産の資産価値はどれくらいなのか、まずは相場を把握する必要があります。そのうえで、出口戦略として売却まで見通して計画を立てることで、売却のタイミングを見誤ることを防げるでしょう。
9. 管理会社倒産リスクと対処法
管理会社倒産リスクとは、委託している管理会社の倒産に伴う影響のことを言います。不動産投資では、ほとんどの場合で管理会社に管理を委託するものです。その管理会社が倒産することで、次のような影響があります。
・管理業務ができない
・入居状況や契約書などの情報や書類がわからなくなる
入居者からの家賃は、直接オーナーに振り込まれるパターンと、一度管理会社に振り込んだ後に手数料などを差し引かれてオーナーに振り込まれるパターンがあります。管理会社を介する場合、管理会社が倒産することで管理会社に振り込まれた家賃がオーナーに振り込まれない恐れがあるのです。
管理会社倒産リスクへの対処法としては、次のような方法があります。
・管理会社とコミュニケーションをとる
・管理会社の経営状況を確認して契約する
ある日突然管理会社が倒産したという事態を防ぐには、日ごろから管理会社とこまめにコミュニケーションを取ることが大切です。そもそも倒産するような管理会社を選ばないように、管理会社選びの際には経営状況なども確認するようにしましょう。
それでも、いつ管理会社が倒産するかは分からないものです。万が一、管理会社が倒産してしまった場合は、物件の管理に支障が出ないように速やかに次の管理会社を探すようにしましょう。
まとめ
不動産投資にはいくつかのリスクがあります。これから不動産投資を始めることを考えている方は、本記事の内容を参考に、どのようなリスクがあるのかを把握し、しっかりと対処していくことが大切です。
また、海外不動産投資の失敗パターンについては、こちらの記事で詳しく解説されています。
参考:海外不動産投資の失敗パターン10選。失敗事例と対策 | World Invest
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