不動産投資でリフォームをする必要性や費用相場、注意点について解説
不動産投資の数ある空室対策の中でも、リフォームは有効です。しかし、リフォームが本当に必要なのか、どの箇所をどの程度改修したら良いのかわからない方もいるのではないでしょうか?
本記事では、不動産投資においてのリフォームの必要性や、リフォームを成功させるポイント・注意点について解説していきます。
目次
Toggle不動産投資で物件のリフォームは必要か
所有物件へのリフォームは、建物の痛みや空室状況に応じて必要です。ここでは、リフォームを検討すべき2つのタイミングについて解説していきます。
築10年目を迎えたとき
築10年は、家屋の内外に小さな不具合が出始める頃です。建物のメンテナンスや修繕の意味合いでのリフォームを検討しましょう。
家のメンテナンスを行っておくことで、入居者からのクレーム防止や建物の寿命を伸ばすことにつながります。
建物内でリフォームを優先的に検討する箇所は、キッチン・トイレ・バス、といった住宅設備です。とくに水回りは、入居希望者からよく見られる場所でもあり、利用頻度も高く常に湿気を帯びているため、痛みが表れやすい箇所でもあります。
建物外ではベランダや屋根など、防水工事がされている箇所を業者に見てもらいましょう。建物外観は、直射日光や雨風の影響を受けるため、劣化が激しい箇所とも言えます。雨漏りで建物本体が腐食するなど、莫大な費用発生を未然に防ぐことが重要です。
すでに築10年を過ぎている物件であれば、10年サイクルを目安に家屋の内外のメンテナンスを業者に依頼しましょう。
空室が続いているとき
物件の空室が続いているようであれば、空室対策としてリフォームを検討しましょう。
リフォームと似ている修繕方法としてリノベーションもありますが、それぞれの目的には少し違いがあります。リフォームは、古くなった建物や設備を、新築の状態に戻すこと。リノベーションは、新築の状態以上の価値を建物に与えることです。
リフォーム・リノベーションを適切に導入することで、空室対策や賃料アップを狙う方法もあります。次章で、それぞれの特徴について触れていきます。
不動産にリフォーム・リノベーションを行うメリットとデメリット
この章では、リフォーム・リノベーションの費用相場や、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
リフォームを行うメリットとデメリット
リフォームは、老朽化した箇所を新築の状態に戻すことです。たとえば、色褪せてきた壁紙やキズのついた床を張り替えるなど、経年劣化によってマイナスな状態になったものをゼロの状態へ戻す工事を指します。
リフォームを行うメリットは、比較的費用が安い・工事期間が短い、という点です。すでに備えらえた設備に対して補修や交換などを施すので、工事規模は小さく、価格も抑えられます。
デメリットは、デザインの自由度が低い点です。リフォームでは、間取りを変えるような大幅な工事は行わないため、ライフスタイルに合わせて住居を作り替えるなどはできません。
場所別のリフォーム費用の相場は以下のとおりです。
リフォーム箇所 | 費用の相場 |
床 | 畳から畳:7〜10万円
畳からフローリング:15万円〜 フローリングからフローリング:6万円〜 ※6畳の場合 |
壁紙 | 1平米あたり1,000円〜 |
浴室 | 壁:5万円〜
浴室暖房乾燥機:15万円〜 |
キッチン | システムキッチン:50万円〜 |
トイレ | 和式から洋式:15万円〜
温水洗浄便座:2万円〜 |
選ぶ材質や依頼する業者によって異なりますが、おおむね上記が目安です。
リノベーションを行うメリットとデメリット
リノベーションは、新築の状態以上の価値を建物に与えることです。間取りを変更したり、耐震補強工事を施したりするなど、新築の状態にプラスαの価値を加える工事を指します。
リノベーションのメリットは、デザインの自由度が高い・物件選びの選択肢が増える、といった点です。躯体構造以外のすべてを解体して大幅に改修ができるため、ライフスタイルに合わせたデザインに設計ができます。
デメリットは、比較的費用が高い・工事期間が長い、という点です。工事の規模が大きいため、リフォームより費用と時間がかかります。
リノベーションは、デザインや規模感によって費用相場に差はありますが、完全に解体して工事を進めるフルスケルトンだと、1㎡あたり15万円〜20万円が相場です。
1㎡あたりの相場を当てはめると、部屋の大きさ別では以下のようになります。
リノベーション箇所 | 費用の相場 |
30㎡ | 450〜600万円 |
60㎡ | 900〜1200万円 |
100㎡ | 1,500〜2,000万円 |
リノベーションは手を加える規模で大きく開きが出るため、見積りを取ると具体的な費用を把握しやすいでしょう。
リフォーム・リノベーションを成功させるポイント
リフォーム・リノベーションを成功させるには、ニーズのある設備を、採算が合う範囲内で抑えることが重要になります。
ターゲットに合わせたリフォーム・リノベーションを行う
ターゲットが物件に求めそうな設備をリフォーム・リノベーションで導入すると、空室対策としても有効です。
全国賃貸住宅新聞の2022年の人気設備ランキングでは、以下のような内容が「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」と紹介されました。
単身者向け | ファミリー向け | |
1位 | インターネット無料 | インターネット無料 |
2位 | エントランスのオートロック | 追い焚き機能 |
3位 | 高速インターネット | エントランスのオートロック |
4位 | 宅配ボックス | 高速インターネット |
5位 | 浴室換気乾燥機 | システムキッチン |
6位 | 独立洗面台 | 宅配ボックス |
7位 | システムキッチン | 浴室換気乾燥機 |
8位 | 24時間利用可能ごみ置き場 | ガレージ |
9位 | 防犯カメラ | ホームセキュリティ |
10位 | 追い焚き機能 | 24時間利用可能ごみ置き場 |
出典元
上記の表から、ターゲットに合わせて導入すべき設備の優先順位を検討すると良いでしょう。
リフォームの予算を決めておく
リフォームは、工事する箇所によっては費用が高額になりがちです。予算をあらかじめ決めておきましょう。
一般的に不動産投資物件にかけるリフォーム費用は、賃料の3〜6ヶ月分が目安といわれています。賃料10万円の物件では、60万円を超えないリフォーム箇所の選択が必要です。
不動産投資で物件のリフォーム・リノベーションを行う際の3つの注意点
1. DIYは表面的な場所のみ行う
リフォーム費用を抑える方法としてDIYもありますが、あくまで表層的な部分に留めましょう。
理由として、2020年の民法改正により家賃減額を請求される可能性があるからです。家賃減額請求は、設備の不具合によって使えなくなった箇所・日数に応じて、家賃を減額する指針のことです。
出典
たとえば、賃料10万円の物件でトイレが7日間使えなくなったとすると、家賃減額割合は20%・免責日数は1日と記載がされているため、以下の計算式になります。
10万円×20%×(7日−1日)/月30日=4,000円
あくまでガイドラインのため、必ず上記の金額というわけではありません。入居後のトラブルを起こさないためにも、DIYを行うのであれば、クロスの張り替えや電気コンセントカバーの交換など表層的な部分に留めましょう。
2. 業者への依頼は閑散期に行う
リフォームを業者へ依頼する際は、閑散期に行うのがポイントです。
繁忙期に依頼をすると、リフォーム費用が高くなりやすい上に、人手不足による工期遅れが起こりやすいからです。
リフォーム業者の繁忙期である4月・9月の依頼は避けた方が良いでしょう。
3. リフォーム費用に使えるローンを探す
一般的なリフォームローンは、居住用物件を対象にしています。
不動産投資物件でローンを組む場合には、投資用のリフォームローンに対応している金融機関を探す必要があります。
不動産会社の中には、リフォームローン対応の金融機関と提携している会社もあるので、問い合わせてみるのも1つの手でしょう。
まとめ
不動産投資でリフォームを行う際の必要性や、注意点についてご紹介しました。
所有物件へのリフォームは空室対策に有効である反面、費用によっては採算が合わなくなる可能性もはらんでいます。
リフォームを検討している方は、ぜひ本記事の内容を参考になさってください。
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