【不動産投資】経費になる?ならない?条件や確定申告の注意点も解説
不動産投資をスタートしたものの、確定申告を自分ですることが初めてで、何が経費になるのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。税金や確定申告のことを完璧に理解することは難しくても、何が経費に落とせて何が経費ではないのかだけでも把握できれば、スムーズに確定申告はできます。
また、経費を上手に活用することで、確定申告時における税金の支払いが少なくなる可能性があります。経費の知識を身に付けるだけで、手元に残る収入を増やせるのです。
そこで本記事では、不動産投資における確定申告をする前に、マンションオーナーが知っておくべき経費や確定申告の流れなど網羅的にご紹介します。
目次
Toggle不動産投資で経費にできるもの
不動産投資において経費として認められるものは「該当する支出が不動産投資に直結するもの」です。不動産投資に限らず、経費として認められるものは「事業と関係あるかどうか」であり、事業と関係ないものを経費にすると虚偽の申告扱いになります。
不動産投資をスタートさせたばかりの早いうちに、経費として認められるものとそうでないものを把握し、確定申告を乗り切りましょう。
不動産投資で経費にできるものは以下17項目です。
●投資ローンの金利
●投資ローンの保証料
●投資物件の保険料
●管理に関する費用
●管理組合に支払う管理費と修繕積立金
●入居者の立退料
●入居促進のための費用
●消耗品・備品の購入費用
●交通費と宿泊費
●車関連の費用
●不動産投資の勉強や情報収集の費用
●パソコン・スマホなどの通信費
●建物部分の減価償却費
●税金関係
●士業に対する報酬
●交際費
●修繕費
ひとつずつ順番にみていきましょう。
1. 投資ローンの金利
不動産投資時に融資を受けた場合は、金利部分が必要な経費として認められる傾向にありますが、以下の2点に気をつけてください。
●経費計上できるものとできないものがある
●対象はあくまで金利のみ
まず、不動産の部分によって経費計上できるかどうかという点です。経費として認められる不動産投資ローンの金利は、
●建物の部分や設備など建物の購入部分に対する金利(売買契約書で金額確認要)
●土地価格部分は不動産所得が黒字の場合のみ計上可能
が対象です。
不動産投資時に購入した物件の土地面積や建物・設備部分の金額は、売買契約書に記載があるため、一度目を通すことをおすすめします。
しかし、土地部分の金利は不動産所得が赤字になった場合、一定期間内の利益と損失を相殺する「損益通算」の対象から外れてしまう場合があることを覚えておかなければなりません。また、不動産を購入する際にローンで購入している場合、元金は経費として認められませんので、注意が必要です。
2. 投資ローンの保証料
ローンに関しては、金利のほかに保証会社を利用する際に保証会社に支払う保証料も経費になります。金融機関から融資を受けて投資物件を購入し、保証会社を利用する方は忘れずに経費計上しましょう。
3. 投資物件の保険料
物件購入時に加入する保険に対する保険料も経費として認められます。たとえば、以下のような保険が対象です。
●地震保険
●火災保険
●大家が負担する入居者の孤独死に関する保険
明細が手元にないという場合は、加入している保険ごとの保険会社に明細を取り寄せておき、確定申告に備えましょう。
4. 管理に関する費用
不動産投資の手法によって管理方法は異なりますが、以下のような管理や保守に関する費用も不動産投資の経費として認められます。
●不動産管理会社への委託費用
●清掃や設備の保守点検費用
自主管理している人は除きますが、不動産管理会社へ管理を委託しているという場合、委託費用も経費です。管理会社から届く明細は捨てずにとっておきましょう。
管理会社によっては確定申告の時期に明細をまとめてくれる場合もあるため、管理会社のほうに相談することをおすすめします。
また、区分マンションなど共用スペースがある物件に投資している場合は、共用部分の清掃にかかる費用や設備・保守点検費用も経費計上可能です。エレベーターや消防設備などは管理会社経由でなく、専門会社との契約という場合があることから、もし心当たりがある場合は請求書を捨てずにとっておきましょう。
5. 管理組合に支払う管理費と修繕積立金
管理組合に支払う管理費と修繕積立金も経費にできます。修繕積立金は将来の大規模修繕などの費用に備えて徴収されるもののため、一見経費にできなそうですが、マンションを管理していくうえで必要経費です。
毎月発生する費用のため、年間で考えると高額になります。忘れずに経費計上しましょう。
6. 入居者の立退料
入居者の立退きをする際に支払う料金も経費です。ただし、投資物件の土地や建物を売却するための立退料は、売却時は譲渡費用となり譲渡所得から控除され、経費にはできないため注意してください。売却しないときの立退料は経費として認められています。
7. 入居促進のための費用
入居者を探すための費用である「仲介手数料」や「広告宣伝費」も経費として認められています。仲介手数料や「入居者募集」などの広告掲載する際の広告宣伝費は、オーナーが自分で入居者を見つけない限り費用がかかるものです。そのほか、家電や商品券など新規入居者への入居特典にかかる費用も経費にできます。
経費計上できることを最初に知っていれば、入居者を募る際の費用も前向きに捉えられるでしょう。
8. 消耗品・備品の購入費用
管理会社や不動産会社に郵送する書類やペンなどの購入費用も経費にできます。あまり金額は大きくないかもしれませんが、不動産投資に直接関連する業務のための消耗費や備品購入費用も経費になることを覚えておきましょう。
9. 交通費と宿泊費
現地調査や不動産投資会社との物件交渉・契約など不動産投資を遂行するために移動目的がある場合は、「旅費交通費」として経費計上可能です。
●公共交通機関の利用
●高速道路料金
●ホテル宿泊費用
●ガソリン代
●駐車料金
領収書に目的をメモで残したり、領収書の但し書きに「不動産投資における○○として」と明記してもらったりすることで、確定申告時にプライベートの利用と混ざりません。
また、バス乗車時や電車の切符購入時に現金で支払った場合など公共交通機関利用時においては領収書をもらえない可能性があるため、エクセルなどで「旅費精算書」を作成すると便利です。
10. 車関連の費用
不動産投資に関連する移動手段に車を使っているという場合も以下の費用は経費として認められることが一般的です。
●車の購入代金
●車検
●メンテナンス費用
●自動車保険料
●レッカー代金
多くの場合、日常生活で使う車をそのまま不動産投資に関連する移動に使っているでしょう。
その場合は、事業とプライベートの支出を分ける「家事按分(かじあんぶん)」という方法で経費計上可能です。日常生活との利用バランスを考慮して、経費計上しましょう。
11. 不動産投資の勉強や情報収集の費用
不動産投資の勉強に関連する費用や学びにおけるサポートに関する費用も経費計上可能です。
●セミナー
●書籍
●コンサルティング費用
ただし、不動産投資の学びになっているものでないと経費にできません。また、後述しますが、不動産投資に関連していたとしても資格取得にかかる費用も経費の対象となりませんので、注意が必要です。
12. パソコン・スマホなどの通信費
インターネット料金やデバイスの本体料金・携帯電話会社の料金・ソフトやアプリの購入資金も不動産投資に使った分は家事按分のうえ、経費計上できます。
インターネットや携帯電話などはプライベートの通信手段としても使用することが多いものです。「家事按分」により不動産投資とプライベートでの使用比率を分けることが前提ですが、不動産投資に使った分が経費になるのは有難いものではないでしょうか。
13. 建物部分の減価償却費
建物に対する費用も「減価償却」という形で経費計上できるため、不動産投資初心者は覚えておくと役立ちます。減価償却とは、長く使う固定資産に対して国税庁が定める時間の経過にあわせて費用計上するという仕組みです。
国税庁のホームページ内には、対応する固定資産に対する法定耐用年数と減価償却率が掲載されていますので、確定申告時に購入物件と照らし合わせながら経費計上していきます。
参考:「減価償却費」の計算について|国税庁
14. 税金関係
税金によっては経費として計上できるものがあります。以下が対象です。
●固定資産税
●都市計画税
●登録免許税
●印紙税
●不動産取得税
●利子税
●法人事業税
また、日常生活で乗る車を不動産投資における移動手段に使っている場合、「自動車税」や「重量税」も自動車関連費用や通信費と同様、家事按分で処理可能です。
15. 士業に対する報酬
確定申告を税理士に頼んだり、不動産登記に司法書士の力を借りようとしていたりする場合、「報酬」として経費にできます。
また、滞納や退去など入居者とのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、弁護士へ相談・訴訟を依頼する費用も報酬という形で経費計上できるということを覚えておくといいでしょう。
16. 交際費
不動産投資会社や管理会社との飲食を伴う接待や飲み会・交流会に参加した費用は、「交際費」として認められます。不動産投資会社や管理会社との交際費は、「誰と」「何のために使ったか」を常に記録しておくことが大切です。
17. 修繕費
入居者が退去したときに原状回復する工事、故障や不具合があったときの工事費用は、修繕費にできます。修繕費は、基本的に工事を実施した年に一括で経費計上可能です。
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不動産投資で経費にできないもの
一般的に、不動産投資に関係ない支払いは経費として認められません。同様に、不動産投資に必要ないと判断できるものも経費ではないため、注意が必要です。
万が一、不動産投資に関係ないものまで経費にしてしまうと、場合によっては意図的な節税と税務署にみなされ、税務調査を受けたり「重加算税」が課せられたりすることがあります。一見、不動産投資に関係あると思えても経費にできない項目もあるため、よく確認しておきましょう。
不動産投資で経費にできないのは以下6項目です。
●不動産投資が絡まない交際費や娯楽費用
●ビジネスにおける身なりに関する費用
●所得税・住民税・法人税
●資格にまつわる費用
●違反金や罰金
●会費
ひとつひとつ順番に解説します。
1. 不動産投資が絡まない交際費や娯楽費用
不動産投資会社や管理会社との交際費は経費として認められるものの、家族や恋人・個人で使う娯楽費用や交際費用は経費にできません。交際費を経費として計上する大前提として、不動産投資が関係しているかどうかが関係します。プライベートで楽しむために使う費用は不動産投資に全く関係がないため、経費に入れてはいけません。
2. ビジネスにおける身なりに関する費用
不動産投資の場では、スーツやビジネスカジュアルを着用する場面も多くあるでしょう。しかし、税務上では不動産投資にスーツやビジネスカジュアルに関わる装飾品・メガネ・コンタクトレンズなどは税務上「日常的なファッション」とみなされ、経費にできません。
立場的に必要な装いであることが何らかの形で証明できる場合は、経費として認められる可能性があるため、最寄りの税務署に質問してみてもよいでしょう。
3. 所得税・住民税・法人税
税金でも、所得税や住民税、法人税といった「個人に課せられる税金」については不動産投資とは全く関係がないため、経費として計上できません。所得税とはいわゆる国税で、その年の1月から12月にかけて個人の稼いだ金額に対して個人に課せられる税金のことを指します。
住民税は、お住まいの地方自治体が徴収する税金のことで、いわゆる地方税です。地方自治体によって納付方法や徴収方法も変わります。ほかにも、法人税は法人化して株式会社を持っている場合にのみ課せられるので、不動産投資で法人化する際は覚えておくと便利です。
4. 資格にまつわる費用
一見、不動産投資で役に立ちそうな「宅建士」や「マンション経営管理士」「賃貸不動産経営管理士」などの資格取得に関する費用も、残念ながら経費になりません。不動産投資に役立つ資格だったとしても、税務上は「個人のスキルアップ」とみなされるためです。
不動産に関する資格取得に関する費用を経費にしようと思った場合は認められないため注意しましょう。
5. 違反金や罰金
不動産投資にまつわることで移動中に車を使って事故や違反をしてしまった場合、徴収された違反金や罰金については経費に認めてもらえません。税法では、違反金や罰金については厳しくなっています。
スピード違反や駐車違反はもちろん、交通事故などのないように気をつけて運転すべきでしょう。
6. 会費
会費が発生するものは一般的に経費にできません。会社員の副業で不動産投資をしている場合、ジムなどが格安で利用できることがあるかもしれませんが、残念ながら不動産投資とは関係ないとみなされます。
従業員が家族のみ(専従者)である場合や個人事業主の場合も同様です。ただし、「個人事業主でなく家族以外の従業員がいる会社に勤めている場合」は会費でも経費にできる場合があるため、税務署や税理士に確認することをおすすめします。
条件によって判断が分かれるもの
経費にできるかどうか、条件によって判断が異なるものもあります。一例は以下のとおりではあるものの、ひとりひとりのケースによって状況は変わるでしょう。
自身の場合は経費にできるのかどうかが心配である場合は、不動産投資会社に相談したり、税理士や税務署など専門家に相談したりすることをおすすめします。
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該当する項目は以下4つです。
1. 工事費用
2. 自宅の家賃や光熱費
3. 家族への給料
4. 売却・解体費用
ひとつずつ解説します。
1. 工事費用
物件の工事費用は、「資本的支出」か「修繕費」かの判断に迷いやすい区分です。判断基準として、価値を高めるための工事なのかどうかを考える必要があるでしょう。価値を高める場合は、減価償却費に該当します。
国税庁のホームページで耐用年数や償却率を調べて計算し、減価償却費として計上可能です。
工事内容が同じ価値のものあるいは似たものへの変更の場合は、修繕費として経費に一括計上できます。投資している物件の給湯器を変える工事を例に出しますので、以下を参考にしてみてください。
例) 資本的支出:給湯器を新型に刷新する工事
修繕費:給湯器を同じ物あるいは同じ型・機能のものへ取り換える工事
また、工事内容によっては一括での経費計上したところ確定申告の内容が税務署に否認されることもあるため、注意しなければなりません。判断が難しい場合も多くあるため、不動産投資会社や税理士・税務署へ相談すると安心です。
2. 自宅の家賃や光熱費
自宅を不動産投資に関係する管理事務所や執務室にしている場合、家賃や光熱費はどうなるのか気になるという方もいるかもしれません。自宅の家賃や光熱費については、通信費や自動車関連費用と同様、家事按分で処理できます。
ただし、事務所として使っているかどうかの判断が難しいこともあるでしょう。確定申告前に、不動産投資会社や税務署・税理士に相談することをおすすめします。
3. 家族への給料
不動産投資物件に対し妻や親など家族へ管理をお願いし、対価として給料を支払っているという場合は、確定申告が白色申告なのか青色申告なのかで分かれます。
●白色申告:経費にできない
●青色申告:経費にできる(青色専従者給与)
ただし、青色申告だからといっても、不動産投資が事業規模でないと経費計上できないということを覚えておかなければなりません。
一般的に不動産賃貸業において青色専従者給与は月8万円~10万円以内に収めるのが妥当だと言われています。青色申告は節税しやすくなるためおすすめである一方、家族への給料を誤った金額で経費にすると税務署から確定申告で否認を受ける可能性があるでしょう。最悪の場合、税務調査に入られたりするリスクを高めてしまうため、よく考えてから決断したほうが無難です。
4. 売却・解体費用
立退料と同様に売却するための測量費や解体費用は経費になりません。ただし、建て替えなど経費になるケースもあります。個人で判断するのが難しい場合は、税理士や税務署に相談し確認しておきましょう。
不動産投資で経費にするときの3つの注意点
不動産投資の経費には以下3つの注意点があります。
1. 節税目的に経費を増やさない
2. 領収書に必要事項が記入されているか確認する
3. 領収書は確定申告後5年または7年間保管する
ひとつひとつ詳しくみていきましょう。
1. 節税目的に経費を増やさない
節税目的に経費を増やしすぎてしまうと、結果的に節税効果が薄れてしまいます。収める税金が少なくなっても無駄に出費が増えれば、節税する意味がありません。経費になるものであっても、本当に必要な出費以外は最低限におさえるように心がけましょう。常に費用対効果を意識することが大切です。
2. 領収書に必要事項が記入されているか確認する
経費にできるものも、支払いの証拠となる領収書がなければ、経費計上できません。領収書には以下の情報が必要です。
●支払った日付
●支払先
●内容
●支払金額
宛名はなくても問題ないためレシートでも対応できます。領収書やレシートは確定申告に備え、月別や品目別など、自分で分かりやすいようにまとめておきましょう。
3. 領収書は確定申告後5年または7年間保管する
領収書やレシートは、確定申告が終わっても処分してはいけません。個人事業主の青色申告では原則7年間(前々年の所得が300万円以下の場合は5年間)、白色申告は5年間、法人は7年間、領収書やレシートの保管が義務付けられています。いつ税務調査がきても焦ることのないように、大切に保管しておきましょう。
所得合計が20万円以下ならそもそも確定申告しなくてもよい
不動産投資で得た収入から、経費として認められるものを引いた所得金額の合算が20万円以下であれば、基本的に確定申告は不要です。以下が不動産所得の計算方法になります。
不動産所得=不動産収入(+他に副業している場合は副業収入)-必要経費
もし、不動産投資以外にも副業などで何らかの収入を得ている場合は、合算した費用から経費を差し引いた金額なので、注意してください。不動産所得が赤字になったとしても還付金が受けられる場合があるため、確定申告が必要でないケースに該当する場合でも、確定申告したほうが安心です。
しかし、所得合計が20万円以下である場合は確定申告の義務はありません。赤字の状態だったとしても確定申告をやるかやらないかは、個人の判断が必要だと言えます。
経費になるおもな税金の算出方法
事前にある程度経費がどのくらいの金額になるのか分かっていれば、戦略的に節税できるでしょう。ここでは数ある経費のなかでも予測しにくい以下4つの税金の算出方法を解説します。
1. 不動産取得税
2. 登録免許税
3. 固定資産税
4. 印紙税
不動産投資にかかる税金については、下記記事でも紹介しますので参考にしてください。
>>不動産投資ではどんな税金がかかる?購入時・保有時・売却時にかかる税金と税額シミュレーションを紹介
1. 不動産取得税
不動産投資の物件を購入した際にかかるのが不動産取得税です。不動産取得税は以下の計算式で求められます。
不動産取得税=課税評価額×税率
建物と土地、それぞれで計算した合計額が実際に納める税額です。課税評価額は、固定資産税評価通知書で確認できます。目安は市場価格の7割程度です。税率は4%と決められていいますが、令和6年3月31日までは3%の軽減税率が適用されます。
2. 登録免許税
登録免許税は、不動産取得時の所有権登記や抵当権の設定時に納める税金です。登録免許税は以下の方法で計算できます。
登録免許税=課税標準額×税率
登録免許税の税率は4パターンあります。
土地購入時の所有権移転登記 | 支払うタイミング |
土地購入時の所有権移転登記 | 2% ※令和8年3月31日までは1.5% |
新築物件の所有権保存登記 | 0.4% |
中古物件購入時の所有権移転登記 | 2% |
抵当権の設定登記 | 0.4% |
登記手続きは司法書士へ依頼するのが一般的です。司法書士への報酬として約5~10万円必要なことも覚えておきましょう。
3. 固定資産税
固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している方が納税します。税額の計算式は以下のとおりです。
固定資産税=課税評価額×1.4%(自治体により異なる)
固定資産税の納税先は、国ではなく地方公共団体です。税率は1.4%が基本ですが、異なる自治体もあるため確認しておきましょう。
4. 印紙税
印紙税は課税文書を作成する際に必要な税金です。不動産投資においては、不動産の売買契約書や銀行から融資を受ける際のローン契約書が該当します。納税方法は、収入印紙を購入です。
収入印紙の金額は契約書に記載されている金額により決定します。
契約書記載の金額 | 原則 | 令和6年3月31日までの軽減税率 |
1,000万円超 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
青色申告と白色申告の違い
確定申告の方法には、「青色申告」と「白色申告」の2種類あります。「白色申告」とは、青色申告の手続きをしないまま確定申告する人の申告方法です。複雑な簿記が不要で、簡易的な簿記を残したり、領収書をとっておいたりすれば問題ないと言えます。
また、白色申告希望の場合は特別な申請をすることなく、確定申告の季節になったら申告書を提出するだけで完了します。一方の「青色申告」は、開業してから2か月以内に提出する「開業届」と一緒に「青色申告承認申請書」を最寄りの税務署に提出しないと適応されない申告方法です。
帳簿を作成し、提出するなど確定申告時の面倒臭さはあるものの、税制上の優遇措置を受けられたり赤字を3年繰り越せたりするため、これから不動産投資をする人にはおすすめの申告方法です。
最近では、「やよいの青色申告」や「マネーフォワード クラウド確定申告」など青色申告に対応した会計ソフトもあるため、自分でも帳簿をつけやすくなっています。
確定申告に必要なもの
確定申告の日付を逆算し、国税庁の確定申告フォームから既定の申告書フォーマットを入手したり、会計ソフトを活用したりして用紙を準備します。
もし、不動産投資を含めた本業以外での所得が20万円以上を超えると開業届を出しますが、すでに税務署に開業届を提出済みの場合は、1月に確定申告書用紙が自宅に送られてきますので中身を確認しましょう。
その他、不動産投資の場合は以下の書類が必要です。早めに準備しましょう。
●不動産売買契約書
●固定資産税の通知
●火災保険や地震保険の証券
●修繕費などの見積書、請求書、領収書
●賃料入金明細(管理を外部に委託した場合)
●借り入れの返済予定表
●賃貸契約書
●不動産投資に関係する接待交際費や交通費などの領収書
●源泉徴収票(会社からの給与収入がある場合)
領収書や明細書は税務署に提出する必要はありませんが、確定申告が終わったら申告書の控えと共にファイルや箱に入れるなどして失くさないよう、自身で保管しましょう。
確定申告の手順
1. その年の1月~12月までの明細書の取りまとめ
2. 税務署主催の確定申告の相談会などに足を運んでみる
3. 国税庁ホームページや会計ソフト・手書きなど好きな方法で決算書の作成を始める
4. 国税庁ホームページや会計ソフト・手書きなどで確定申告書の作成
5. 不明点は都度、税務署の説明会を活用して解決していく
6. 税務署へ提出(郵送や持参、最寄りの税務署)
確定申告を税理士に依頼する際は遅くとも年末までに依頼することで、落ち着いて対処できるでしょう。また、青色申告で確定申告したいという場合は、不動産投資開始と同時に最寄りの税務署へ開業届を提出すると安心です。
青色申告の流れについては下記記事で紹介していますので参考にしてください。
>> 不動産投資しているサラリーマンのための確定申告攻略法!必要書類や手順を解説
まとめ
この記事では、経費についての知識や注意点、確定申告のポイントや流れを解説しました。不動産投資を成功させるためには、家賃収入を増やすだけでなく無駄な出費をおさえることも重要です。
経費になる項目や確定申告などの事務的な知識を身に付け、賢く資産形成していきましょう。不動産にかかわらず、専門知識がないと投資はうまくいきません。これまで投資経験があまりない方は、気軽に相談できる信頼のおけるパートナーの存在が不可欠です。
クレドでは、経験豊富なコンサルタントが、お客様ひとりひとりに合った不動産投資をアドバイスさせていただきます。無料相談やセミナーなども随時実施中です。少しでも興味をもっていただいた方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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