不動産投資に頭金は必要?フルローンの注意点や少額投資を成功させるポイントなど解説
最近では不動産投資向けの物件でも「頭金不要」と書かれた広告も目にすることが出てきています。確かに頭金を入れることなく不動産を購入することは可能です。
しかし、頭金を入れなかったことで後悔するケースも少なくありません。そこで、投資をする前に、頭金を入れるメリットやデメリットはどのようなものなのか、頭金を入れるとすればどのくらい用意しておくと良いのかといった知識を身につけたうえで判断することが大切です。
今回は、不動産投資を成功させるために知っておきたい、頭金が必要かどうか、頭金なしにフルローンを組む際の注意点、少額投資で成功するためのポイント、について解説をします。
■頭金を入れるメリット
・ローンの返済額、利息額を軽減できる
・金利上昇のリスク対策になる
・ローン審査に通りやすい
■不動産投資に頭金は必要?
・頭金が必要なケース1:希望融資金額に届かない場合
・頭金が必要なケース2 融資引き締めのタイミング
・頭金がなくても良いケース1:金融機関公認の返済能力がある
・頭金がなくても良いケース2:6か月~1年分の貯蓄がある
■頭金の見積もりはどう立てる?
■頭金を入れない場合(フルローン)での不動産投資は現実的?
・ローンはいくらまで借りることができるのか
【フルローンのメリット】
・手元に資金を残せる
・迅速に理想の物件を購入できる
【フルローンの注意点】
・月々の返済金額が増える
・審査に通りにくくなる
■頭金や自己資金を抑えた少額投資を成功させるポイント
・リサーチを徹底する
・無理のない金額で投資する
■まとめ
目次
Toggle頭金を入れるメリット
頭金はなぜ必要なのでしょう?頭金を入れることによるメリットを解説します。
・ローンの返済額、利息額を軽減できる
頭金があれば、その金額だけ金融機関からの融資額を抑えられます。融資額が大きければ大きいほど利息額も減少し、月々のローン返済額が減るため、月々の返済負担を軽減することが可能です。
また、毎月の返済額が少なくなることで、家賃収入として手元に収益が残りやすくなります。利益を貯める事によって、繰り上げ返済を検討することもできるでしょう。早めに返済することができれば、支払う利息も減らすことができ、より一層収益が出やすくなります。
・金利上昇のリスク対策になる
頭金を入れることで元金が減れば、支払い利息が減ります。そのため、融資を受けた後に金利が上昇した際に、元金が少ないことで金利が上がっても支払う利息額に影響が出にくいです。現在の日本は超低金利時代と言われており、不動産購入時にローンを組みやすくなっています。
しかし、今後の政策変化や経済動向によって、金利が上昇する可能性は決してないとは言い切れません。融資額を抑えておくことは、不動産投資の重要なリスク対策の1つといえるでしょう。
・ローン審査に通りやすい
金融庁の調査によると、金融機関の多くは顧客に頭金の用意を求めています。ローンを組む上で頭金を必須とする金融機関が15%~17%あり、頭金を用意できない顧客にはローン審査をお断りするというケースも少なくありません。ローン審査の際、融資した金額を必ず返済してもらえる人物かどうか見極めた上で融資額を決定します。「頭金が用意できる」というのは、ある程度の自己資金が用意できる環境にあるという証明になり、金融機関からの信用が上がり審査の際に大きなプラス要因となるのです。ただし、これはどの投資家にも言えるわけではありません。
審査の際は、個人の属性に関する点として、年収や年収の推移、勤務先の評価や勤続年数、借入状況や資産状況が主にみられるポイントです。更に、購入物件の立地や価格、将来的な収益性等の評価も含まれます。融資審査にはさまざまな要素が複合的に絡んでくるので、頭金を入れたから必ずしも希望の融資額が下りるわけではないということを頭に入れておきましょう。
不動産投資に頭金は必要?
契約する金融機関によっては、フルローンといわれる頭金ゼロで諸費用もローンに組み込めるプランを用意しているところもあります。
当然の事ながら、すべての物件でフルローンを組むことができるわけではありません。そこで、どのような場合に頭金が必要なのか、どのような場合に頭金がなくても良いのかを見ていきましょう。
・頭金が必要なケース1:希望融資金額に届かない場合
ローンで購入したい物件が決まったらまずは、金融機関に融資の審査を申し込みます。金融機関によって細かなルールは異なりますが、立地条件や周辺環境、築年数などの物件そのものの価値の判断、さらに申込者の年収や年齢など属性といったものが一般的な審査の判断基準となるものです。
これらをもとに融資額を決めるのですが、金融機関の審査の結果、一定基準を満たしていなかった場合には希望の融資額を出してもらえないケースもあります。その場合は足りない金額を頭金として自己資金で賄う必要があります。もしも、融資額の不足分の自己資金が用意できない場合には、購入する物件を変えることが一般的です。
・頭金が必要なケース2:融資引き締めのタイミング
金融機関は、その時の世情や政策によって融資を緩和したり引き締めたりする場合があります。金融機関側が融資を渋る「融資引き締めのタイミング」に投資用物件を買おうとしても、希望通りの融資はなかなか受けられません。
そこで、融資引き締めのタイミングに融資を受ける場合には頭金の用意が必要になります。
頭金を入れることで融資を受ける金額を減らすことができたり、審査の際にプラス評価がされることで融資を受けやすくなったりするのです。
金融機関が融資を積極的に進めるのか、融資を渋るのか決めるのかは日本銀行の金融政策によって変わってきます。不動産が供給過多になったり、投資が過熱して不動産価格が高騰したりすると、金融機関の判断によって融資が絞られることが多いです。
しかし、不動産投資の知識のない一般時には融資引き締めのタイミングの見極めはなかなかできません。そこで、不動産投資を始める際にはどのような状況下でも融資を受けて投資ができる状態を作るためにも頭金にする自己資金は用意しておくことが望ましいです。
・頭金がなくても良いケース1:金融機関公認の返済能力がある
金融機関は、フルローンの審査にあたり、申込者の返済能力など一定の基準を満たしているかどうかで融資額を判断しています。確認する内容としては幅広く、申込者の年収に対して年間返済額が何割になるかという利率を示す、返済負担率などのチェックや、自動車ローンやクレジットカードのキャッシング枠なども審査の対象となることが多いです。
そのため現預金が豊富にある人や年収が高い人は金融機関側から好印象を持たれやすく、経験がなくてもフルローンを組める可能性があります。
・頭金がなくても良いケース2:6か月~1年分の貯蓄がある
金融機関は「お客様に必ずお金を返してもらう」ことを前提条件でお金を貸しています。不動産購入後に手元に貯蓄がゼロに無くなってしまうと、高額の消費が発生した場合や突然の病気など緊急事の出費に備えることができないので貸すことは難しいと判断されがちです。
そこで、金融機関側も貯蓄部分は重要視する傾向があります。最低でも頭金を支払った後に100万円は手元にある事が条件としても挙げられます。
頭金の見積もりはどう立てる?
頭金の最適な額は経済状況や購入者の属性、購入物件が新築か中古であるか、物件の立地などの条件によっても左右されます。このように、さまざまな観点から判断が下されるために、明確な規定や計算式はありません。そのため、頭金が何割であれば借りられるという決まりはないのです。
しかし、一般的な目安として物件の金額10%〜20%程度という基準といわれています。そこで、頭金を入れる場合は、一般的な目安金額を支払うことを想定しながら、物件購入後に発生する家賃収入とローン返済額、その他必要費のシミュレーションをすることが大切です。シミュレーションをして、毎月の収入と支出を確認していくと、自分が頭金をどのくらい出しておくと良いかが見えてきます。
また、万が一数ヶ月の空室が発生した場合、ローン返済を賄える自己資金を手元に残しておいて、残った自己資金を頭金として入れるのも忘れてはいけません。
頭金を入れない場合(フルローン)での不動産投資は現実的?
ここからは、頭金を入れないフルローンでの不動産投資は現実的なのか、ということを考えていきます。具体的にどのくらいローンを借りることができるのか、メリットとデメリットはどのようなところなのかを知れば、フルローンでの投資をするかどうかの判断がしやすいです。
・ローンはいくらまで借りることができるのか
不動産投資用ローンを組める金額の目安は、およそ年収の8倍程度とされています。ただし、この倍率は、ローンの金額は購入する物件の収益性に加えて、利用する不動産投資会社、購入者の属性や与信、借入れをきちんと返済できるかどうかの社会的信用性があるかなどで金額が変わりますのであくまで目安です。
最近では企業が副業を推進していることも多くなっています。そこで、副業での収入がある場合には、継続している年数や売り上げが加味されるため、年収や借り入れの状況が良いとはいえなくても優遇されるケースもあります。このように、一人ひとりの細かな状況によって判断がされ、なおかつ金融機関によっても借入額には変動があるので複数の融資審査を受けることで自分の借り入れ可能額がどのくらいであるのかは変わってきます。
【フルローンのメリット】
フルローンを組むことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。2つ紹介します。
・手元に資金を残せる
頭金というのはまとまった金額であるため、支払いが終わると、手持ちのお金は大幅になくなってしまいます。そこで、あえて頭金なしのフルローンを組み、手元に資金を残せるというのはフルローンのメリットの1つです。
手持ちの資金に余裕があれば、万が一急な出費があったときにもすぐさま対応できますし、様々な投資を行っているような方の場合には、社会的信用で金融機関から一旦はフルローンで不動産投資を進めながら、手元の現金は他の投資で増やしていく事も可能になります。不動産投資の利回りにもよりますが、社会的信用と現金の両軸で資産形成が出来れば効率化が図れます。
・迅速に理想の物件を購入できる
物件は同じものが存在しないいわゆる一点ものです。だからこそ、理想の物件が見つかったらすぐに購入したいですし、万が一逃すと次に同じような物件に出会える保証はありません。
そこで、頭金が貯まるまで購入を伸ばすことになると、物件を購入できない可能性が高くなるため、頭金なしでフルローンの利用ができることはとてもありがたいです。フルローンが出来るという事は時間の投資となる訳です。
【フルローンの注意点】
もちろんフルローンには良い面だけでなく注意すべき点もあります。
よく理解したうえでフルローンを組むかどうかを判断するようにしましょう。
・月々の返済金額が増える
やはりフルローン最大の注意点は、総返済額と総返済利子の金額が大きくなる分、月々の返済額が増えてしまいます。せっかく毎月家賃収入が入るようになっても、ローン返済や建物の維持費が大きくなると赤字になる可能性もゼロではありません。
空き家が出たり、未納が出たりすれば、赤字リスクはさらに高まります。いくら自己資金なしで始めたとしても、赤字続きでは「不動産投資で収益を得たい」と考えていた当初の目論見から大きく外れてしまうでしょう。
・審査に通りにくくなる
フルローンは申し込む段階で、金融機関の審査が非常に厳しくなるのも難点です。特に勤続年数が長いにもかかわらず頭金が用意できない場合や、年収に対する借入額が大きいというと厳しい判断をされる傾向があります。
金融機関としては、リスク軽減のためにも、返済金額が上がるほど審査は厳しくなるのです。
頭金や自己資金を抑えた少額投資を成功させるポイント
頭金や自己資金を抑えた小額投資でも投資を成功させることは可能です。その際気を付けたい2つのポイントを紹介しますので是非参考にしてみてください。
・リサーチを徹底する
どのような投資でもいえることですが、ただプロに任せるだけでなく、自分でも知識を持ち、不動産情報をリサーチすることが大切です。どんなに少額であっても投資には変わりありません。
書籍やセミナーなどを通して不動産投資についてよく学び、実際に物件を見に足を運び周りの環境などもリサーチなどして、総合的に検討して投資するかどうかを決断しましょう。
・無理のない金額で投資する
投資を始めるとなると、ついつい欲が出てきてしまい大きな利益が出るように、大きな金額を運用したくなりがちです。特に一度利益が出ると、より大きな利益が出るよう投資額を増やしたくなってきます。
しかし、投資額が増えればその分のリスクが増えることも忘れてはいけません。貯金すべてを投資してしまうことは危険です。生活資金はしっかりと確保したうえで、余剰分でのみ投資することを心がけましょう。
まとめ
不動産投資を成功させるためには、まずは柱となる自分ルールを決めることが大切です。ほかの人の真似をするだけでなく、年収などの属性と、頭金を用意するのかフルローンにするのかなどの条件から総合的に判断し「自分のスタイルに合った投資の方法は何か」を考えてみましょう。
そうすると、無理のない運用ができ、投資の成功率も高められます。また、できる限りリスクは分散させて失敗の確率を下げることも重要です。リスクを減らすためには、妥協せずに必要な情報を自分でリサーチし、物件を購入する際にも自分に合った不動産会社を選び、利回り以外の情報にも目を向けましょう。
不動産投資初心者の方はまずは本やセミナーなどから知識をつけ、リスクの少ない新築マンション投資からはじめるのもおすすめです。
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