不動産投資の融資審査とは?ローンに通る人と通らない人の違いを解説
「不動産投資用のローンでの融資審査は何が基準なの?」「審査に通らない…年収が低いから?」とお考えの方はこの記事をご参照ください。不動産投資の融資審査は通常の住宅ローンより審査が厳しいと言われています。
住宅ローンでは年収や職業といった個人の返済能力を審査されますが、不動産投資では物件の収益性や担保としての価値も加えて判断されるのです。
また、今回のコラムでは個人が物件を選定し金融機関に持ち込み、融資を受ける場合を想定して執筆させて頂きました。
売主物件を検討されている方は購入する不動産会社の信用によって提携する金融機関が違うので、条件が大きく変わる事を覚えておきましょう。
不動産投資の融資の審査基準や融資に通りやすくなる方法をご紹介していきます。
目次
Toggle不動産投資の融資審査とは~何を基準に審査されるの?
不動産投資の融資審査の基準となるのは「個人の属性」と「物件の条件」、「タイミング」の3点です。
個人の属性で年齢や年収・職業といった融資申込者の返済能力を判断し、物件の条件では収益性と担保価値を審査されます。
金融機関の年度末である3月末、半期の9月末では目標額を達成するため融資に積極的である支店が多く、審査を申し込むにはより良いタイミングです。
また、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうと融資を受ける事はほぼ不可能になりますので、個人信用情報に記録が掲載されていないか確認をとってみましょう。
個人の属性
融資における「個人の属性」とは年齢・年収・職種・保有している資産等を指し、金融機関はローンの契約者に「債務の返済能力があるか」を判断します。
年齢的には26~50代前半、上場企業・公務員・士師業(医師や弁護士等)が融資に通りやすい属性です。既にオーナーとして実績を出している方、預貯金や有価証券等の自己資本が多い方が高評価となります。
住宅ローンや自動車ローンは「負債」とみなされ、残債が減っておらず資産よりも負債の割合が多い債務超過の状態の場合は融資に不利となってしまいます。
ローンとは長い付き合いになりますので、返済期間を逆算して年齢は若い方が融資に通りやすいでしょう。職業的には公務員が最も融資が通りやすく、続いて医師や弁護士などの士師業、上場企業の会社員、中小企業の会社員となります。
一般的に転職が多いと収入が安定しないとみなされ評価は低くなり、勤続年数が長いと評価が高くなります。
個人事業主・自営業者は会社の規模や年収によって評価が異なり、収入が安定して高く、法人化している場合は信用度は高くなりますが一般的に会社員より融資が通りにくい傾向にあります。
一般的に融資額は年収の8〜12倍程度と言われており、例えば年収500万円の会社員であれば4000万〜6000万まで融資を受けられる可能性があります。
1棟物件の場合には20倍や30倍の融資が行われることもありますが、空室やリスクヘッジを鑑みると適切とは言えません。
投資用不動産の条件
購入する物件はローンの担保となるため、物件所在地・収益性・積算価格が高いと金融機関の融資が通りやすくなります。
利回りが高く多額のキャッシュフロー(手元にあるお金)が見込める物件は収益性が高いとみなされ融資が通りやすい傾向にありますが、築年数やエリアによっては融資が受けられない物件も多数ございます。
区分マンションの評価方法として金融機関が重視するポイントは「収益還元法」という評価方法を基準にしています。
詳しくは こちら をご覧ください。
1棟マンションの場合では、金融機関の重視ポイントは「積算価格」と言う評価方法です。積算価格の計算方法は以下の通りです。
土 地
路線価×土地の面積
路線価は国税庁の「財産評価額基準書 路線価図・評価倍率表」(https://www.rosenka.nta.go.jp/)で確認する事が出来ます。
建 物
再調達価格×延べ床面積×残存年数÷法定耐用年数
再調達価格は建物を新たに建築する場合に要する費用で、構造により単価が異なります。
法定耐用年数は国税庁の「法定耐用年数」(https://www.town.yubetsu.lg.jp/40gyosei/03plan/files/AM_03taiyonensu.pdf)
または、東京都主税局の「減価償却資産の耐用年数表」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/hyo01_02.pdf)
を参考に算出しましょう。
残存年数は(法定耐用年数-築年数)で計算することができます。
上で計算できる積算価格はあくまで目安となっており、細かい条件や専門家の視点により判断が異なる場合があります。
融資審査は金融機関の目標額やタイミングも関係する
金融機関は年度末である3月末、半期である9月末に普段より審査が通りやすくなる傾向があります。
支店ごとに予算(目標)を上記のタイミングで達成しなくてはならないため融資に積極的になります。ただし支店の目標額や担当者の判断によっては審査に通らない可能性もあります。
タイミングを重視し過ぎて儲かる物件を逃してしまう可能性もありますので、あくまで物件の収益性や希少性を優先させるようにしましょう。
個人信用情報を確認してみよう
融資を申し込むと金融機関は返済や支払いの能力を判断するために融資申込者の「個人信用情報」を確認します。
個人信用情報への掲載はいわゆる「ブラックリスト入り」であり、融資を受けることは非常に難しくなります。
クレジットカードや住宅ローンの返済遅滞、カードローンの借り入れ等がある場合、個人信用情報機関に返済遅滞や事故情報が掲載されます。
国が指定する3つの機関に管理されているので、掲載されていないか確認してみましょう。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
「クレジットカードの口座にお金を入れ忘れ、返済遅滞となってしまった」というちょっとした出来事でも信用情報に傷がついてしまう可能性があります。
また、携帯電話の割賦販売(月々の料金に本体料金を上乗せしている)もクレジットカード等と同様に「信用取引」となり、延滞してしまった場合は個人信用情報に事故歴が掲載されてしまいます。
筆者の知人男性は携帯電話の支払いが遅れた結果、高年収の上場企業勤務という好条件にも関わらず住宅ローンの審査に落ち続け、最終的には妻が融資申込者となりました。個人信用情報に掲載されてしまった場合は、たとえ他にプラス要素があったとしてもローンを組む事はほぼ不可能でしょう。
ブラックリストが消される目安としては、遅延・滞納の場合には、解消されてからCIC、KSCが5年間でJICCが1年になりますが、債務整理の場合には種類にもよりますが10年間の記載にもなりますので十分注意しましょう。
融資審査に通るためにできる事とは?
「自営業でなかなか審査に通らない」「メインバンクが不動産投資に消極的でローンを断られる」といった方は、資産を増やし負債を減らすといった個人の属性改善や、不動産投資に積極的な金融機関を探す、収益性・資産価値の高い物件を探す等の方法があります。
金融機関の方針で不動産投資の融資への審査基準に差がありますので、不動産会社に銀行を紹介してもらう、知人のコネを利用するといった方法も効果的です。
資産を増やし負債を減らす
融資に通りやすい人の条件として「保有資産が多い」が第一に挙げられます。
ローンを返済するためには安定した職業や高収入であることも重要ですが、いつの時代でも「現金を持っている」人は金融機関に高く評価されます。
例えばデイトレーダーのような収入が不安定な職業でも、多額の不動産や預貯金等の財産を保有していると融資に通る可能性が高くなります。
融資審査に通る可能性を高くするには預貯金を始めとした資産を増やし、ローンや借金がある場合は早めの返済を心がけましょう。
不動産投資に積極的な金融機関にアプローチする
金融機関と一口に言っても融資の方針は異なりますので、不動産投資に積極的に融資を行う金融機関を探しましょう。不動産会社の系列である金融機関や不動産会社と連携した金融機関は、不動産投資の融資に力を入れている可能性が高いです。積極的に申し込みましょう。
また、金融機関の担当者と信頼関係を築いておくことも重要となりますので、細目に足を運ぶ、知人や親せきのコネを使うといった方法も検討しましょう。
収益性・資産価値の高い物件を探す
前述の通り、物件の利回りや積算価格が高いと融資審査で有利となります。多くの物件情報に触れ、より収益性・資産価値の高い物件を探しましょう。
収益性が高い物件は、経営において利益を出しやすく売却の際も売却価格が高い傾向にあります。
不動産投資ローンでは物件の収益性・個人の属性の2つが求められますので、資産を増やし個人の属性改善と並行しながら融資に有利な物件を探しましょう。
融資が受けられない人のための不動産投資
融資審査に通らず、不動産投資を行う事が難しい場合は「REIT」で間接的に不動産投資を行うという方法があります。
REITは不動産を対象にした投資信託で、投資家から集めた資金をマンションやオフィスビル等に投資し売却利益や家賃収入を投資家に還元する仕組みです。現物の不動産投資と違い不動産物件の維持管理のための経費や税金がかからないというメリットがありますが、直接不動産投資を行った時よりリターンは低くなります。まずはREITで資産を増やしてから不動産投資を行うのも良いでしょう。
不動産投資の融資審査は怖くない
不動産投資の融資審査で落ちると「自分は信用を得られない人間なのか…」と落ち込む方もいらっしゃいますが、金融機関はあくまで物件と個人の返済能力で判断していますので気落ちする必要はありません。プロの不動産投資家でも「融資が通るのは10件のうち1件」という方もいらっしゃいますので、不動産投資に積極的な金融機関を探し資産を増やす努力をしていきましょう。
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