不動産投資における出口戦略の基本を解説!売却を成功させる4つのポイント
不動産投資における出口戦略とは、主に所有している物件の売却を意味します。
資産形成をしようと不動産投資を始めてみたものの、当初考えていたような運営が行えず、売却を検討している方もいるのではないでしょうか?
本記事では、出口戦略の手段や売却に適したタイミングについて解説します。
目次
Toggle出口戦略の重要性
不動産投資における出口戦略とは、物件をいつ・どのように売却するか計画することです。
投資物件から得られる収入は、インカムゲイン(家賃収入)・キャピタルゲイン(売却益)の2種類があり、出口戦略はキャピタルゲインに該当します。
不動産投資の運営中の理想はできるだけ空室期間を短くして、安定的に家賃収入を得ることです。
しかし、賃貸需要のない物件を選んでしまった・競合物件が多く、空室対策に十分な効果を得られなかったなどの理由で十分な家賃収入を得られないケースもあります。
それでも、不動産投資はまだ失敗と決まっていません。一時的にマイナスでも売却益でプラスになれば、不動産投資は成功に切り替わるからです。
適切な出口戦略へのアプローチをすることで、損失を出さずに切り上げることができます。
次章から、売却方法について解説します。
売却に適した3つのタイミング
不動産の売却に適したタイミングは、以下の3つです。
- 5年以上所有した時
- 減価償却期間が終わる時
- デッドクロスになる時
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.5年以上所有した時
不動産は、5年以上所有してから売却するのが望ましいとされています。
5年と言われる理由は、5年を境に売却益へ課税される税率が大きく異なるからです。
譲渡所得の税率は、下記のとおりです。
譲渡所得の区分 | 所有期間 | 税率 |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年以上 | 20.315% |
このように所有期間に応じて税率が約2倍に変わるため、売却のタイミングが少し早いだけで損をする可能性が高いのです。
2.減価償却期間が終わる時
減価償却期間を満了したタイミングは、不動産の節税効果を使い終えたときと言えます。
減価償却期間は建物の構造別に、下記のように年数が定められています。
建物の法定耐用年数 | |
構造 | 法定耐用年数 |
鉄筋鉄骨コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄骨造 | 34年 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
木造 | 22年 |
例えば、1,000万円木造住宅を取得していたとすると、22年目までは毎年約45万5,000円ずつ節税効果が得られていたはずです。
しかし、翌年からは減価償却費による節税メリットはなくなるので、法定耐用年数の所有期間が1つの売却のタイミングとも言えます。
3.デッドクロスになる時
デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費より多くなる状態のことです。
とくに、残りの減価償却期間の少ない中古物件を購入したときに起こりやすい現象です。ローン返済は、利息部分は経費計上できますが、元金部分は経費になりません。
そして、一般的に不動産投資でローンを組む際に選ばれる「元利均等返済」は年々、元金返済額が年々増える返済方法です。
減価償却の期間は、減価償却費と利息部分が経費に計上できるので節税効果を得られます。しかし、減価償却期間を終えて、ローン返済が進んでいくと経費計上できない元金返済額だけが多くなってしまいます。
この状態では、節税効果が得られないのはもちろんのこと、現金の支出があるのに帳簿上に表れないため、キャッシュフローを悪化させる原因になるのです。
デッドクロスを迎えるタイミングまでに売却するのも1つの選択肢です。
出口戦略の3つの方法
不動産投資の出口戦略の方法は、下記の3つです。
- 収益物件として売却する
- 自己居住用として売却する
- 更地にして売却する
それぞれの売却方法の詳細を見ていきましょう。
1.収益物件として売却する
これからも不動産投資をするための物件として、投資家に売却する方法です。
もちろん収益性は重視されるため、入居者がいる状態で売却できれば高い値をつけやすいでしょう。
もし、不動産の立地や状態が良くなく、自身で入居付けする体力がない場合には、不動産買取業者に依頼するのも手です。
買取業者は、リフォームなどを施して再販する前提で買い取るため、売れにくいとされる物件もそのままの状態で売却できます。
2.自己居住用として売却する
今まで投資用に所有していた物件を、一般の買い手に向けてマイホームとして売却する方法です。
一棟所有では向かない方法ですが、戸建住宅・区分マンション投資をしている場合は、投資物件からマイホーム用に切り替えやすいでしょう。
入居者が居なくなったときに切り替える・現在の入居者に購入を打診する、といった方法も1つの選択肢です。
3.更地にして売却する
戸建住宅・一棟アパート・マンション投資であれば、更地にして売却する方法もあります。
建物の老朽化が進んでいるなど、法に適合しない物件などであれば、更地にして売却したほうが買い手の購入ハードルは下がります。
ただし、建物の解体は費用が高いです。30坪程度の木造住宅でも100万円は超えるため、高く売れる土地である自信がない場合には向かない方法です。
出口戦略を成功させる4つのポイント
出口戦略を成功させるポイントは、下記のとおりです。
- 相場を把握しておく
- 安易な修繕やリフォームは控える
- 余裕をもった売却活動を行う
- 信頼できる担当者に相談をする
なるべく損失を出さないためのポイントを順番に見ていきましょう。
1.相場を把握しておく
不動産を売却する際には、あらかじめ相場を調べておきましょう。
売却相場の調べ方には、以下のような方法があります。
- レインズ・マーケット・インフォメーションで、近隣の取引事例を確認する
- 不動産ポータルサイトで、類似した物件がいくらで搭載されているか売出し価格を調べる
- 公的機関が調査している、公示価格・基準地価の標準価格を参考にする
相場を把握した後は不動産会社に相見積もりを取りましょう。目安として3社以上には問い合わせをして、査定価格を比べましょう。
2.安易な修繕やリフォームは控える
リフォームや修繕を行うと、買い手がすぐに見つかるのではないかと考えがちですが基本的にはしないほうが良いでしょう。
なぜなら物件自体の印象は良くなりますが、リフォームにかかった費用を全額上乗せするのは厳しいからです。
また、買い手がこだわりのある内装にしたいとリフォーム・リノベーションを前提に、物件を探している可能性もあります。
その場合、下手に手を加えて本体価格が高くなるより、そのままの状態で価格が安いほうが喜ばれます。
売却に必要なリフォームかどうかは十分に検討しましょう。
3.余裕をもった売却活動を行う
売却に伴うスケジュールは余裕をもって組んでおきましょう。
不動産仲介の売却にかかる期間はおおむね3ヶ月〜6ヶ月程度ですが、物件によっては1年以上かかるケースもあります。
売主の売り急いでいる様子が伝わってしまうと、購入希望者に大幅な値引き交渉を持ちかけられる可能性が高くなってしまいます。
好条件で売却したいのであれば、余裕をもった売却活動が欠かせません。
4.信頼できる担当者に相談をする
相見積もりでピックアップした不動産会社に、実際に訪問して相談しましょう。
その際に、査定価格への質問や交渉をしてみることをおすすめします。誠実に対応してくれる担当者であれば、査定価格の内訳や値上げできない理由などを丁寧に説明してくれるはずです。
信頼できる担当者に出会えたら、納得感のある売却もできますし、また新しく不動産投資をはじめる際には心強いパートナーとなるでしょう。
まとめ
不動産投資の出口戦略の手段や、成功させるポイントなどをお伝えしました。
もちろん、適切な物件選びができたとしても管理を怠ると退去率は増加してしまいます。日々の業務は管理会社に委託できますが、最終的に経営判断をするのは物件オーナーです。
また不動産投資をはじめる際には、管理会社に任せきりにならないよう、今後の方針を提案するなどして経営に関わっていきましょう。
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