インカムゲインとキャピタルゲインとの違いとは?不動産投資を始めるならどちらを狙うべき?
株や不動産などの投資を行う際にしばしば登場するインカムゲインとキャピタルゲイン。この2つは利益を生み出す方法を表した用語で、それぞれ目的や特徴が異なります。インカムゲインとキャピタルゲインの意味を理解しておけば、より具体的に資産運用の計画や戦略などを立案可能です。そこで今回はインカムゲインとキャピタルゲインについて、具体例やメリット・デメリットを挙げながら解説します。また不動産投資ではどちらを狙うべきかについても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
Toggleインカムゲインとは
まずはインカムゲインの概要について見ていきましょう。インカムゲインとは資産を保有している間に、定期的に得られる利益のことを指します。最も身近なものには預貯金で得られる利息が挙げられます。そのほかにも不動産を賃貸に出して得られる家賃収入や、不動産投資信託(REIT)などの金融商品から得られる分配金などはインカムゲインの一種です 。
インカムゲインの具体例
不動産投資におけるインカムゲインについてもう少し具体的に解説します。たとえば、1,000万円で購入したマンションを月額5万円で賃貸に出したとします。
この場合、年間の家賃収入は60万円です。先ほど算出した家賃収入から管理費や修繕費、固定資産税など、不動産投資で発生しうるランニングコストを差し引いた純利益がインカムゲインにあたります。
キャピタルゲインとは
続いてキャピタルゲインの概要も同様に解説します。キャピタルゲインとは、ひと言で表すと売却益のことです。不動産そのものや、REITなどの金融商品を売却して得られる利益などが、キャピタルゲインにあたります 。
キャピタルゲインの具体例
不動産投資におけるキャピタルゲインの具体例も合わせて見てみましょう。
たとえば、1,000万円で購入したマンションを5年後に1,500万円で売却したとします。この場合、売却価格から取得価格を引いた500万円が売却益です。算出した売却益に対して、所得税や仲介手数料がかかるので、これらを差し引いた利益がキャピタルゲインに当たります。
インカムゲインのメリット
インカムゲインのメリットは、以下のように挙げられます。
- 安定した収入が期待できる
- 節税節税
不動産投資のインカムゲインに当たる家賃収入は、高い入居率を維持できれば、安定した収益が期待できます。また家賃の価格も振れ幅が少なく、収益が予想しやすい点も安定的に運営できる点として挙げられます。
インカムゲインのもう一つのメリットは節税効果が期待できる点です。インカムゲインは、所得税や住民税などの所得に関する税金の対象となりますが、経費や減価償却費などの控除を受けられます。
インカムゲインのデメリット
インカムゲインのデメリットは、代表的なものに以下の点が挙げられます。
- 投資額に対する利益率が低い
- 管理に手間がかかる
- 元本割れのリスクは少なからずある
インカムゲインで得られる収益は、マンション購入費用などの投資額に対して少ない点がデメリットのひとつです。ワンルームマンションを一部屋購入しようとしても数千万の費用がかかります。対して家賃収入は月々数万円、多くても十万円程度が一般的な相場です。 そのため年間で得られる家賃収入は多くても百万円程度で、インカムゲインだけで元本分の費用を回収しようとすると10年単位での経営計画を立てる必要があります。
長期間での運用を想定した投資法である分、キャピタルゲインに比べて管理工数が多い点もデメリットのひとつです。たとえば入居者の募集や契約、家賃の回収や滞納対応、修繕やメンテナンスなど(不動産の管理や運営)の手間がかかります。これらを管理会社に委託することもできますが、管理を依頼した分インカムゲインの収益率は低下する点に注意しましょう。
またインカムゲインを得ることを目的とした不動産投資であっても、元本割れのリスクは少なからずあることも忘れてはいけません。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインの具体的なメリットは以下の通りです。
- 大きな利益を得られる
- 保有期間によって節税効果が得られる
キャピタルゲインの最大のメリットは大きな利益を得られる点が挙げられます。たとえば不動産市場が好調なときや立地するエリアの需要が高まっているときなどに不動産を売却すれば、大きな利益が期待できるでしょう。
また不動産は保有期間によっては売却時の譲渡所得税の税率が下がるため節税効果も期待できます。譲渡所得税には短期所有と長期所有によって以下のように税率が分かれます。
- 短期所有(売却する年の1月1日時点で5年未満)していた場合:税率39.63%(所得税+住民税)
- 長期所有(売却する年の1月1日時点で5年以上)していた場合:税率20.315%(所得税+住民税)
そのため5年間以上は所有しながら家賃収入によるインカムゲインを狙い、長期所有に切り替わったタイミングで売却し、キャピタルゲインを得るといった戦略を立てる場合もみられます。
キャピタルゲインのデメリット
キャピタルゲインのデメリットは、以下のように挙げられます。
- 利益が得られるとは限らない
- 収益を得たいタイミングで売却できない
キャピタルゲインは、不動産の価格変動に左右されるので、不動産市場の動向によっては損失を被る可能性があります。不動産市場が低迷しているときに売却すると、取得価格よりも低い価格でしか売れない場合も十分考えられます。
キャピタルゲインによって収益を得る場合、社会の情勢や不動産市場の状況などを見極めて適切なタイミングで売却することが必要です。そのため突然お金が必要になったとしても売却すると損をしてしまうといった状況に陥ることもあるでしょう。
不動産投資ではどちらを狙うべき?
不動産投資では、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを狙うべきかは、個人の目的や資金状況、リスク許容度などによって異なります。一般的には、以下のような考え方ができます。
長期間・安定して利益を狙うならインカムゲイン
インカムゲインは、長期間にわたって安定した収入を得られるので、老後の資産形成や生活費の補填などに向いています。インカムゲインを狙う場合は、家賃収入が高く、空室率が低く、経費が少ない不動産を選ぶことが重要です。
短期間で大きな利益を狙うならキャピタルゲイン
キャピタルゲインは、短期間で大きな利益を得られるので、資金調達や資産運用などに向いています。キャピタルゲインを狙う場合は、将来の価格上昇が見込める不動産を選ぶことが重要です。また、キャピタルゲインを得た後は、他の資産に移動することで、リスクを分散することもできます。
まとめ
インカムゲインとキャピタルゲインの違いと特徴について解説しました。インカムゲインは安定収入が期待できますが、リターンは小さく、保有株の会社の業績が悪化したり、所有不動産の空室が多いと利益が発生しなくなるリスクがあります。対してキャピタルゲインは短期間で大きな利益を期待できますが、経済状況などで株や不動産の資産価値が急落してしまうと逆に大きな損害を被るリスクがあります。今回ご紹介したそれぞれの特徴やリスクをしっかり理解し、あなたにあった投資方法を選びましょう。
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