区分マンション売却の流れや必要書類・売却時に必要な税金・諸費用を解説
区分マンションの売却を考えるにあたり、どのように進めればよいか不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、区分マンションの売却について具体的な流れや必要書類、売却時の諸費用についてなど解説します。
目次
Toggle区分マンションとは?
区分マンションとは、一部屋単位で区切られたマンションのことを指します。
一棟マンションとの違い
同じマンションでも、一棟マンションはマンション丸ごと一棟のことを意味します。
一棟マンションを売却する場合、売却額が高額になることから買手が限定され売却しにくいものです。反対に、区分マンションであれば一室ごとであり、売却額もそれほど高額にはなりません。
立地条件がいい物件というケースも多いため、売却しやすいという特徴もあるのです。
区分マンションの売却相場
公益財団法人不動産流通機構による「2023年3月の地域別売却価格データ」を見ていきましょう。
地域 | 売却価格 | 専有面積 | 築年数 |
東京 | 5,442万円 | 59.18㎡ | 22.23年 |
神奈川 | 3,663万円 | 67.41㎡ | 24.11年 |
愛知 | 2,278万円 | 73.71㎡ | 25.10年 |
大阪 | 2,961万円 | 66.46㎡ | 24.74年 |
広島 | 2,135万円 | 71.22㎡ | 25.72年 |
福岡 | 2,237万円 | 65.82㎡ | 25.18年 |
一般的に都市部ほど価格が高くなる傾向があります。ただし、区分マンションの売却価格は地域や立地・築年数などさまざまな条件で大きく異なるものです。より詳しい売却価格を把握したい場合は、公示価格や近隣の類似マンションの売却相場を調べてみるとよいでしょう。
また、不動産会社に査定に出すことで売却額の目安を立てることも可能です。売却をすでに視野に入れているなら、一度不動産会社に査定してもらうことをおすすめします。
賃貸中でも売却できる?
区分マンションは賃貸中であっても売却可能です。入居者がすでにいる状態であれば、次のオーナーもすぐに家賃収入が見込めることから需要が高くなります。
また、入居者に売却の許可を得る必要もありません。ただし、売却後に入居者に対して買主・売主連名で通知する必要があるので注意しましょう。
区分マンション売却の流れ
区分マンション売却の大まかな流れは次の通りです。
- 不動産会社に査定してもらう
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 売買契約
- 引き渡し
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産会社に査定してもらう
売却を決めたら、まずは不動産会社に査定を依頼します。この時、査定前に自分でもある程度の相場を調べておくことをおすすめします。相場が分かれば、不動産会社の査定額が適正かの判断が可能です。
査定ではできるだけ複数の不動産会社に査定依頼し、結果を比較するようにしましょう。
媒介契約を結ぶ
査定結果をもとに、売却を依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を結びます。
媒介契約には次の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約でき自分でも買主を見つけられる契約です。ただし、レインズと呼ばれる不動産流通機構の不動産流通標準情報システムへの登録や売却活動の報告義務がないため、買手が狭まる恐れがあります。また、複数の不動産会社と契約できることから、不動産会社の営業優先度も低くなる可能性があるのです。
一方、専任媒介契約と専属媒介契約は、不動産会社1社のみとしか契約できません。レインズへの登録と売却活動の報告義務もあるので、状況を把握しやすいというメリットがあるでしょう。
媒介契約ごとにメリット・デメリットが異なるので、自分に合った契約方法を選ぶことが大切です。
売却活動を行う
媒介契約後、売却活動がスタートします。サイトへの掲載やチラシ・問い合わせ対応などは不動産会社で進めてくれるので、売主は適宜状況を確認するようにしましょう。
また、売主は内覧への対応が必要になります。賃貸中の物件であれば、基本的に内覧は行いません。しかし、空室の場合は内覧を行うのが一般的であり、その対応が必要です。内覧案内などは不動産会社に任せれば立ち会わないことも可能なので、相談してみるとよいでしょう。
物件の印象を良く見せるための対応は必要です。ハウスクリーニングを入れるなど、買手の印象を良くしておくようにしましょう。
売買契約
買主と売買条件が一致すれば、売買契約を締結します。不動産会社で重要事項説明を受けたのち、問題なければ売買契約書に署名押印します。
重要事項説明や契約書に記載されていることは、契約に関する重要なことです。隅々まで目を通し、疑問点があれば解決してうえで署名押印することが大切です。
売買契約締結後、買主はローンの本審査を受けます。ただし、ローンの審査に落ちてしまう可能性もあるものです。基本的には、契約時に「ローン特約」を付加するため、買主がローン審査に落ちると契約は無条件で解除となります。
ローン特約適用期間などは契約書に記載されているので、確認するようにしましょう。
また、売買契約時には買主から手付金をもらいます。同時に、不動産会社への仲介手数料の半額を支払うのも一般的なので、用意しておくようにしましょう。
仲介手数料については、不動産会社によって決済時に一括という場合もあるので、事前に確認しておくことが大切です。
引き渡し
売買契約から1カ月後に決済と引き渡しが行われます。買主との条件によってはそれよりも短い期間での引き渡しになる場合もあるので、契約時にきちんと確認するようにしましょう。
決済時には手付金を差し引いた残額が買主から支払われます。また、売却によって利益が発生した場合、売却した年の翌年に確定申告で納税が必要です。忘れずに申告するようにしましょう。
区分マンション売却の必要書類
区分マンションの売却ではさまざまな書類が必要になります。必要な時期に書類がそろっていないと売却がスムーズに進められなくなるので、早めに準備しておくことが大切です。
必要書類を一覧で確認しましょう。
必要なタイミング | 必要書類 |
査定時 | ・分譲時のパンフレット
・住宅ローンの返済予定表や残高証明書 ・登記済証または登記識別情報
|
売買契約 | ・権利済証または登記識別情報
・印鑑証明書 ・本人確認証 ・固定資産税通知書 ・管理費と修繕積立金の額の証明書 ・付帯設備表 |
決済・引き渡し | ・権利済証または登記識別情報
・印鑑証明書 ・本人確認証 ・固定資産税通知書 ・抵当権抹消登記に必要な書類と委任状 ・住民票 ・分譲の際のパンフレットや管理規約・設備取扱い説明書など |
区分マンション売却の税金や諸費用
区分マンションを売却した場合、その利益に対して税金がかかります。また、売却のために費用も発生します。
税金や費用は高額になることもあるので、どのようなコストがかかるのかを把握しておくことが大切です。ここでは、売却にかかる税金と費用を詳しく解説します。
区分マンション売却にかかる税金
区分マンション売却では、次のような税金がかかります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
- 譲渡所得税
1つずつ説明します。
印紙税
印紙税は、売買契約書の作成にかかる税金です。契約書に記載された金額に応じた税額を収入印紙の貼付・消印で納税します。
主な不動産取引の価格帯での印紙税は次の通りです。
取引額 | 印紙税額 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
登録免許税
登録免許税とは、登記にかかる税金のことです。抵当権が付いた区分マンションを売却する場合、抵当権の抹消が必要となり、抵当権抹消登記の登録免許税が必要です。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産個数×1,000円となり、区分マンションの場合建物と土地で2,000円掛かります。また、抵当権抹消登記では司法書士に手続きを依頼するのが一般的となっているため、そのための費用も必要です。
消費税
個人で不動産を売却する場合は、売却に対して消費税は必要ありません。ただし、投資用物件や課税事業者に該当する人が売却する場合は、建物の部分に関して消費税がかかるので注意しましょう。
また、不動産会社への仲介手数料・司法書士費用に対しては消費税が課税されます。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、売却の利益に対してかかる税金です。次の計算で求められます。
・課税対象譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
・譲渡所得税=譲渡所得×税率
譲渡所得は、売却額から購入にかかった費用(取得費)と売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた部分です。
取得費としては、購入額だけでなく仲介手数料や印紙税なども含められます。譲渡所得を算出したら、税率を乗じることで譲渡所得税を算出できます。
譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なり次の通りとなっています。
所有期間 | 所得税・復興特別税 | 住民税 | 合計税率 | |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
所有期間が5年以下の場合は高い税率で課税されるので、所有期間には注意しましょう。
区分マンション売却にかかる諸費用
諸費用として、次のような費用がかかります。
- 仲介手数料
- ローン完済手数料
- 引越し費用やハウスクリーニング費用など
詳しく見ていきましょう。
仲介手数料
不動産会社の仲介で売却した場合、仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限は法律で定められており、次の通りです。
仲介手数料上限(取引額400万円超の場合)=売却額×3%+6万円+消費税
仮に、2,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は66万円(税抜)となります。ただし、上記の計算はあくまで上限であり、不動産会社によって上限内であれば自由に設定できます。
とはいえ、ほとんどの不動産会社では上限ギリギリの設定となるでしょう。仲介手数料は値引き交渉することも可能ですが、過度な値引きは不動産会社との関係性を悪くし売却にも影響するのでおすすめできません。
もともと仲介手数料を安く設定している不動産会社もあるので、費用を抑えたい場合はそのような会社を選ぶのも一つの手となります。
ローン完済手数料
ローン返済中の物件の場合、ローンを完済しなければ抵当権が抹消できないため売却ができません。基本的には、売却額で完済することになるでしょう。
ローンを一括返済する場合、金融機関に一括返済手数料を支払う必要があります。手数料額は金融機関によって異なりますが、5,000万円~3万円程が目安です。
また、完済手続きの方法も金融機関によって異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。
引越し費用やハウスクリーニング費用など
売却に伴い引っ越しが必要な場合は、引越し費用がかかります。また、ハウスクリーニングを依頼する場合はハウスクリーニング費用も掛かるでしょう。
ハウスクリーニングは必ず必要なわけではありませんが、買手の印象をよくするためには検討したい手段です。部屋全体ではなく水回りといった一部でも十分効果を得られるので、費用対効果で検討してみるとよいでしょう。
まとめ
区分マンション売却の流れや必要書類、売却時に必要な税金や諸費用などご紹介しました。
区分マンション売却では大きなお金が動くこともあり、どのタイミングでどのような書類、費用が必要なのかなど押さえておくことが大切です。
区分マンションの売却を考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考になさってください。
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