副業禁止のサラリーマン 不動産投資は社内規定で問題あり?なし?
世の中には、副業禁止の会社も未だに多いようです。そのため、「不動産投資をしたいけれど、社内規定に引っかからないか心配……」と資産運用に踏み出せないサラリーマンもいるでしょう。ここでは「副業禁止の社内規定と不動産投資」の関係について解説します。
目次
Toggle副業禁止の会社は約半数 ただし禁止規定には法的な拘束力がない
はじめに、そもそも副業禁止にしている会社がどれくらいあるかをチェックしてみましょう。日経新聞の大手企業約120社を対象にした調査によると、副業を認めている企業は約半数しかありません。メディアで“副業解禁の話題”がよく取り上げられていますが、社員の副業に後ろ向きの会社は多いのです。
しかしながら、副業禁止の社内規定には、実は法的な拘束力がありません。厚生労働省がとりまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、企業は副業を認めることが適応であり、副業への法的規制はないとしています。仮に副業を理由に解雇されたとしても“不当”の判決が出る可能性が高いです。
不動産投資は株式や投資信託など「資産運用」のカテゴリ
とはいえ、サラリーマンである以上、法的な拘束力はないにしても「会社のルールを破るのは避けたい」と考える人が大半でしょう。ここで注目したいのは「不動産投資は副業なのか」という点です。メディアなどでは、不動産投資が副業の1カテゴリとして紹介されることもあります。しかし、不動産投資はあくまでも資産運用の1つの形態であって、株式投資や投資信託などと同じカテゴリといえます。
もし、会社が不動産投資にNGを出すのであれば、株式投資や投資信託もNGということになります。一般企業で「社員の投資信託を禁止する」という会社はほぼないでしょう。そう考えると「副業禁止の会社に勤めていても不動産投資は問題ない」といえます。
また、親から相続等で不動産を受け継ぐ方も居るかと思いますので、副業の線引きが引けないのも事実です。
■不動産投資をしても「情報漏洩」「本業への悪影響」は起こらない
ちなみに、企業が副業禁止にしたがる理由は、大半が「情報漏洩」と「本業への悪影響」です。国も副業への法的規制はないとしながらも、「情報漏洩」と「本業への悪影響」に該当すると問題が出てくると指摘しています。
「情報漏洩」とは、たとえばシステム会社にエンジニアとして勤めている人が、競合の会社で副業を行い、本業の機密情報を漏らしてしまったというようなパターンです。また、「本業への悪影響」の例では、昼間は会社員、夜間はタクシードライバーの副業をしたため、本業で遅刻や居眠りが目立つといった具合です。
不動産投資は、「情報漏洩」と「本業への悪影響」どちらにもあてはまりません。不動産投資には、購入した物件の入居者対応という業務があります。しかし、これは専門の管理会社に委託するのが普通なので、オーナー(投資家)はほったらかしの状態で運用ができます。不動産投資をしたからといって本業への悪影響はまったくありません。
このように会社が副業禁止をしたがる背景を考えても、社員が不動産投資をすることを会社が嫌がる理由はないと思われます。
■会社に不動産投資をヒミツにしたい人は年間利益を20万円以下に
ここまでお話してきたことを整理すると、次の3つになります。
・そもそも副業禁止の規定には法的拘束力がない
・不動産投資は資産運用なので副業禁止でも問題ない
・不動産投資をしても「情報漏洩」と「本業への悪影響」は起こらない
これらを踏まえると、副業禁止の会社に勤めるサラリーマンが不動産投資をしても“まったく問題ない”という結論になるでしょう。
しかし、これだけの材料が揃っても「会社に不動産投資のことをヒミツにしておきたい」という人もいるかもしれません。このような場合は、年間の利益を20万円以下に抑えることがポイントです。
なぜなら、サラリーマンの本業以外の副収入は、年間20万円の利益を超えると自身で税務署に行って確定申告しなければならないからです。確定申告をすることにより、本業の会社の給与に副収入が加わってトータル所得が増えてその結果、住民税が増えます。住民税は通常、給与から天引きされるため、会社の担当者がチェックしたときに「あれ?住民税の額が多い。副業しているのでは?」と疑われかねません。
この住民税の増加を確実に防ぐには、年間20万円の利益を超えなければよいのです。利益を20万円以下に抑えておけば、確定申告がないので所得は給与のみです。住民税が増えることもないので会社に不動産投資のことは伝わりません。
■区分マンションだと利益を20万円以下にコントロールしやすい
具体的に、不動産投資の利益を20万円以下にコントロールしたいときのポイントは適切な種類を選ぶことです。投資用不動産には、一棟マンション・アパート・戸建て・区分マンションなどの種類があり、それぞれに特徴があります。この中でサラリーマンと相性がよく利益をコントロールしやすい(=会社に伝わらない)のは「区分マンション」です。
区分マンションとは、マンションの○号室のような1部屋単位の物件のこと。マンションを丸ごと買うわけではないので購入費用を抑えやすく、さらに建物寿命が長いので減価償却費という経費項目を計上しやすいのが特徴です。
■サラリーマンは中古区分マンションの選択がベスト
最後に、不動産投資の利益コントロールの鍵を握る減価償却費について補足したいと思います。建物や車などの資産は時の経過と共に価値が減っていきます。このような減価償却資産の購入費を国税庁が定めた「法定耐用年数」に沿って、一定期間経費として計上できる仕組みを「減価償却」といいます。建物をローンで購入している場合、減価償却費は実際には出していないお金です。それを経費計上することで、所得税・住民税の圧縮ができるのです。
どれくらい減価償却費が計上できるかの目安となる法定耐用年数は、木造のアパートや戸建ては22年ですが、鉄筋コンクリートなどで造られたマンションは47年。マンションの方が長い期間に渡って経費計上できるため有利です。
このように副業禁止の会社に勤めている人で、会社に不動産投資をしていることを知られたくない場合は「区分マンション」を選択するのが理想です。同時に、初期投資(物件購入価格)を抑えたいのであれば、中古の区分マンションを選ぶのがベストということになります。
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