マンションの空室率の推移・目安を解説!空室率の悪化防止と改善策とは?
少子高齢化や人口減少が危ぶまれている現在、不動産投資の将来性を不安視している方も多いのではないでしょうか。近年では空き家も社会問題となっており、不動産市場の需要が減少しているかのように思われます。
しかし、不動産賃貸における空室率は、空き家率に比べ深刻ではありません。とくに首都圏の賃貸需要は安定しており、現段階では、不動産投資の可能性を否定するものではないでしょう。
ところが、東京都政策企画局の2060年までの東京の人口推計によると、東京の人口のピークは2025年と言われています。今後さらに人口が減少して賃貸需要が少なくなったときに、選ばれ続けるマンションであるための対策は不可欠です。
本記事では、マンションの空室率の推移や目安、空室率低下の防止策と改善策を解説します。
目次
Toggle空き家数とマンションの空室率の推移
総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、空き家の数は年々増加傾向にあります。2018年の総住宅数に占める空き家の割合は13.6%にのぼり、過去最高です。
しかし、空き家のうち、賃貸用の住宅の割合は、6.9%。5年前の2013年と比較すると0.8%の上昇にとどまっており、賃貸用の住宅の空き家率は、空き家全体の増加率と比べ、さほど深刻ではありません。
東京都を含む首都圏の空室率の推移
「株式会社タス」が行った2020年6月期の賃貸住宅市場レポートから、首都圏にあるマンションの空室率の推移をみていきましょう。
分析:株式会社タス
首都圏の空室率はほぼ一定の数値で推移しています。東京都の市部が下降傾向、東京都と23区が微増傾向にありますが、大きな変化は見られず安定した空室率です。
全国的に空き家は年々増加しているものの、首都圏の入居率に関しては高い数値を保っており、空室率も一定、今後も都市圏の需要は高いと予測されます。
地域別の空室率の推移と目安
公益社団法人日本賃貸住宅管理協会「第26回賃貸住宅市場景況感調査」によると地域別の入居率の推移は以下のとおりです。
全体の結果をみると、2020年の(上期と下期)平均と比べ、2021年は関西圏以外、入居率が上がっています。
地域によって多少の差はありますが、空室率の目安は約2~7%となっており、比較的高い入居率で推移しているといえるでしょう。
マンションの空室率の計算方法
マンションの空室率の計算方法はいくつかありますが、マンションの運用状況を把握したいときは、ある地点での空室率(空室数÷総室数)でなく、年間の稼働率を考慮して計算しましょう。計算式は以下のとおりです。
空室率 =(空室数 × 空室期間)÷(全体の室数 × 365日)
単純に「空室数÷総室数」で計算してしまうと、退去が出るたびに空室率は変動します。空室率を計算するタイミングによって、違う結果になるため、稼働率を考慮した計算方法が適しているのです。
マンションの空室率悪化の防止策
ここではマンションの空室率悪化を事前に防止する以下3つの対策を解説します。
- 首都圏のマンションに投資する
- 家賃保証やサブリースを利用する
- 集客力のある不動産会社に依頼する
ひとつずつみていきましょう。
首都圏のマンションに投資する
マンションの空室率の推移からもわかる通り、とくに首都圏にあるマンションは空室率が少なく、高い需要を期待できます。なかでも駅近など利便性の高い立地にあるマンションは人気です。今後さらに人口の減少が進んでもほかのエリアに比べ、人口減少による影響を受けにくいでしょう。
家賃保証やサブリースを利用する
家賃保証やサブリースを利用すれば、空室時でも家賃収入を得られます。空室を減らすことはできませんが、結果的に空室率悪化による収入減に備えられるのです。
家賃保証は、毎月保証料を支払うことで、空室時に通常家賃の80~90%が保証されます。サブリースは、リース会社に転貸することで、入居率にかかわらず毎月定額の家賃収入を得られる契約です。それぞれの詳細については、下記記事を参考にしてください。
集客力のある不動産会社に依頼する
同じ物件でも不動産会社の集客力があると、成約率が高く客付けまでの期間が短くなります。結果、空室率の悪化を防止できるのです。仲介や管理を依頼するのは、空室率改善ホームページで入居率を掲げていたり、地域密着型で知名度が高かったりする会社がおすすめです。
マンションの空室率の改善策
ここからはすでに低下している空室率の改善策を紹介します。空室率改善に有効な対策は以下6つです。
- 高齢者歓迎の物件としてアピールする
- ターゲットニーズに合う設備や内装にする
- 共用部の印象をアップさせる
- 一時金を値下げする
- 家賃を見直す
- 仲介会社への広告料を増額する
順に詳しく解説します。
高齢者歓迎の物件としてアピールする
将来を見越した対策として有効なのが、高齢者歓迎物件としてアピールすることです。高齢者の入居は「部屋で万が一のことがあったら…」と不安を感じるオーナーもいるかもしれませんが、すべての孤独死が事故物件になるわけではありません。
実際に、早期で発見された孤独死は心理的瑕疵にあたらず、賃借人に対する価値下落の損害賠償が認められなかった事例もあります。
また、万が一事故物件となってしまっても、事故物件を高齢者・外国人向けに転貸するサービスもあります。敬遠されることの多い高齢者の入居だからこそ、歓迎する姿勢をみせることでほかのマンションとの差別化を図れるでしょう。
ターゲットニーズに合う設備や内装にする
ターゲットニーズに合う設備があること、内装になっていることも、空室率改善のポイントです。まずは、マンションのあるエリア特性や居住者属性を調査し、明確なターゲットとニーズを調査しましょう。
ターゲットが定まれば、ターゲットのニーズに合う設備や内装を取り入れましょう。たとえば、サラリーマンや学生の一人入居が多い場合は、宅配ボックス・24時間ゴミステーション・無料Wi-Fiなどが人気です。
シンプルな内装は万人受けしますが、居住者の年齢層などに合わせて、高級感をもたせるなど工夫するとよいでしょう。
共用部の印象をアップさせる
マンションの空室率改善には、専有部だけでなく共用分の印象をアップさせることも大切です。駐輪場の自転車が煩雑に置かれていたり、分別されてないごみでゴミステーションが溢れていたりすると、選ばれるマンションにはなれません。
とくにマイナスイメージの要因ほど、目につきやすく印象に残るため要注意です。管理会社に任せきりにせず、自分でマンションに足を運び管理状況を把握しておきましょう。
一時金を値下げする
金銭的な条件を見直すときは、敷金・礼金・更新料などの一時金から検討しましょう。毎月支払われる家賃よりも値下げのダメージが小さいです。空室率の悪い状況が続くよりも、多少一時金を減額してでも入居してもらったほうが、収支計画とのズレも少なくなるでしょう。
更新料は、入居促進だけでなく現入居者の退去抑制にもつながります。マンションの空室率を改善するためには、新たな退去者をださないことも大切なのです。
家賃を見直す
一時金を値下げしても入居率を改善できない場合は、家賃を見直しましょう。とくに前入居者と同じ家賃で新規募集している場合は、相場よりも高い家賃になっている可能性があります。近隣競合物件と比較して、適正な家賃を見極めましょう。
家賃が相場通りだったとしても、設備などで劣っているケースもあります。競合物件と比較する際は、家賃だけでなく設備や契約条件なども合わせて比較してください。
仲介会社への広告料を増額する
仲介会社への広告料を増額するのも、マンションの空室率を改善するひとつの手です。広告料を増額すると、より多くマンションを紹介してもらえます。内見数を増やして成約率アップを狙いましょう。
ただし、内見した先で共用部の管理が行き届いていないなど、マイナスイメージを与えると逆効果です。広告料を増額しても紹介してもらえなくなるため、専有部・共用部ともに商品価値を高めておくことが優先です。
まとめ
現状、不動産賃貸の空室率の目安は2~7%程度。人口減少による影響もそこまで大きくありません。しかし、今まさに空室に悩んでいるオーナーがいるのも事実です。選ばれ続けるマンションであるためにも、日頃から空室率を意識して、対策を講じていきましょう。
空室率は、不動産経営においてひとつの指針になります。これから不動産投資を始める方は、空室を見込んだ収支シミュレーションで、無理のない資金計画をたてることが大切です。どのようなマンションに投資するのか、サブリースや家賃保証を利用するのか、など将来的な賃貸需要を考えて、投資を成功させましょう。
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