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ターゲットはシニア? 「住宅セーフティネット制度」で社会貢献しながら賃貸経営

ノウハウ

ターゲットはシニア? 「住宅セーフティネット制度」で社会貢献しながら賃貸経営

この度のコロナ禍では、収入減に伴う家賃の減額相談が増え、延滞に応じたり国や自治体の助成を促すなど、物件オーナーには何らかの対応が求められています。一方、どうしても家賃の支払いが厳しく、賃貸契約を解除した入居者もいたとのこと。収入に不安があるシニアやシングルマザーに目立つ印象です。

日本では少子高齢化によるシニアの増加、さらには母子世帯も増えていますが、収入などの面で家を借りられない・借りにくいこともあります。賃貸オーナーからすると家賃滞納などのリスクを考えてしまい、契約をためらってしまうようです。

ところが近年は、こうした住宅弱者の入居をサポートする制度が国や自治体より始まっているのはご存じでしょうか。オーナーはこれを活用することでリスクを解消することができるのです。ここでは、そんな中から代表的な制度の「住宅セーフティネット制度」を紹介します。

高齢化社会が到来。収入源は大きな課題

制度の概要に触れる前に、国内における高齢化の現状を捉えておきましょう。

内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によると、2018年10月1日現在、日本の総人口は1億2644万人で、そのうち65歳以上人口は3558万人。総人口に占める割合(高齢化率)は28.1%です。1950年には総人口の5%に満たなかったのが、1970年に7%を超え、1994年には14%を突破。現在の水準は、もちろん過去最高になります。他方、15~64歳の生産年齢人口は1995年に8716万人でピーク迎え、2018年時点には7545万人と、減少の一途をたどっています。

イタリアは24.0%、ドイツは22.7%と高齢化率が20%を超えている国は他にもありますが、日本は突出していて、世界でもトップを独走。それゆえ「課題先進国」とも呼ばれています。日本の総人口はピークアウトを迎えすでに減少過程に入っていますが、65歳以上人口が75歳を迎える2025年には3677万人に達する勢いです。高齢化率は上昇を続け2036年に33.3%、2042年以降は65歳以上人口が減少しても高齢化率は上がり、2065年には38.4%と、国民の約2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。

高齢化が進むなか、日本は社会構造の変革に迫られています。現状、65歳以上だと定年退職をしていることが多く、現役時代の預貯金や退職金、年金で暮らす世帯がほとんど。再雇用などで働く場を確保したとしても、一部の特別な職業以外だと収入は減少します。内閣府の調査でも、経済的な暮らし向きについて、「心配ない」「あまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と感じている人の割合は全体の64.6%ですが、高齢者世帯の平均所得は318.6万円で、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いた、その他世帯(663.5万円)の5割弱。生活苦で生活保護を受給するシニアは増加傾向にあり、国が掲げる「1億総活躍時代」のもと、高齢者であっても働き続けられ、生活に困らない収入が得られる社会の構築は、喫緊の課題でしょう。

増え続ける高齢者の住まいの確保が急務

住まいに関しても考察しましょう。65歳以上の「人がいる世帯」は2017年時点で2387万世帯と、全世帯(5042.5万世帯)の47.2%を占めています。
また、65歳以上の「1人暮らし」は増えていて、1980年は男性約19万人(4.3%)、女性約69万人(11.2%)だったのが、2015年には男性約192万人(13.3%)、女性約400万人(21.1%)に。今後も増加する見込みで、2040年には男女ともに20%超えると推計されています。

そこで問題となるのはシニアの住まいです。現状、65歳以上のいる主世帯の82.7%が持ち家に住んでいますが、高齢者の単身主世帯の持ち家率は65.6%。賃貸に住む単身高齢者が多いことを意味します。ところが冒頭のように、収入が少なく、加えて健康不安があるシニアだと家が借りにくく、住まいの事情は複雑になりつつあるのです。
受け皿として老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)、特別養護老人ホームといった高齢者施設の整備も官民で進められていますが、加えて国や自治体が民間賃貸住宅を借りやすくしたり補助金を出す施策もあり、そのひとつが「住宅セーフティネット制度」になります。

同制度は、定額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない仕組みのことです。本稿ではシニアに焦点を当てましたが、様々な事情で収入が少なかったり、障害やひとり親世帯が理由で収入が不十分、住まいが見つかりにくいといった方たちもたくさん。こうした人たちに対して、かつては公営住宅が受け皿になっていましたが、今後は受け皿の大幅な増加が見込めない状況にあり、一方で民間の空き家・空き室は増加していることから、2017年10月から現行の制度が始まりました。

民間の賃貸住宅を活用して住宅弱者を受け入れ

住宅セーフティネット制度は、次の3本柱で成り立っています。

  • 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
  • 登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
  • 住宅確保要配慮者に対する居住支

まず、賃貸住宅のオーナーは、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として、都道府県・政令市・中核市に該当する賃貸住宅を登録。自治体などでは登録住宅の情報を提供して入居を申し込みます。ネットには「セーフティネット住宅情報提供システム(https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php)」のサイトもあり、ここで検索・閲覧・申請を出すことも可能です。ちなみに2020年5月末時点で総登録件数は1943件、総登録戸数は2万9745戸にのぼります。

物件を登録するには耐震性への適合、住戸の床面積が25㎡以上など、規模・構造などについて一定の基準を満たさないといけません。一般的な居住用物件だけではなくシェアハウスも登録できますが、その際は専用居室9㎡以上、住宅全体の面積が15㎡×居住人数+10㎡以上、台所、食事室、トイレ、浴室、洗面所などを適切に設ける必要があります。
ただし、これらの基準は地方自治体が供給促進計画を定めることで、強化・緩和できます。また、登録の際は「高齢者の入居は拒まない」など、入居を拒まない住宅確保要配慮者の範囲を限定することも可能です。

同制度のポイントは、登録住宅の改修支援と入居者の負担軽減の支援が用意されていること。共同居住用住宅に用途変更したり、間取り変更、耐震改修、バリアフリー改修工事、居住のために最低限必要と認められた工事などに対して、国による直接補助だと3分の1、地方公共団体を通じた補助なら国3分の1+地方3分の1の補助率で、最大50万円/戸(共同住居用のための改修、間取り変更または耐震改修工事の場合は100万円/戸)が補助されます。ただし支援を受けるには、公営住宅に準じた家賃設定、近隣の同種住宅の家賃と同水準でないといけません。

これに加え入居者への経済的支援としては、家賃と家賃債務保証料の低廉化に対する補助を実施。月収15.8万円以下の世帯に対しては、国と地方公共団体が大家に対しては2万円/戸・月、保証会社などに対しては3万円/戸・年を上限に資金をサポートします。期間は管理開始から原則10年以内ですが、同じ入居者への補助総額が国費で240万円を超えない場合は最長で20年間になります。

以上が住宅セーフティネット制度の概要です。物件オーナーからすると保有物件の有効活用になり、空き家・空き室を持つ人にとっても悪い話ではありません。改修費用や家賃補助もあるので安心ですし、何より住まいに困る人たちを助けるという点で、社会貢献になります。とりわけ高齢者が増えるなか、ターゲットを絞った賃貸経営は、これから有効になるはず。そのひとつとして使えそうな制度となります。


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